▲イラスト=UTOIMAGE

 1994年12月8日、生後9カ月の赤ちゃんの肝臓の状態が悪化した。肝臓の外側にある胆管が詰まって胆汁が出なくなる先天性胆道閉鎖症の患者だった。赤ちゃんは父親の肝臓の4分の1の移植を受けた。生きている人の肝臓を移植する「生体肝移植」が韓国で初めて成功した瞬間だった。

 ソウル峨山病院は16日、韓国初の生体肝移植手術を受けたイ・ジウォンさん(30)がこのほど、肝移植から無事、30年を迎えたと発表した。大学で医療管理学を専攻したイ・ジウォンさんは現在、民間の保険会社で保険審査関連の仕事をしている。ソウル峨山病院では、イ・ジウォンさんの肝移植後、現在まで計7392人(成人7032人・小児360人)に生体肝移植を行った。これは韓国はもちろん、世界でも最多記録だ。

 生体肝移植は脳死者の臓器提供を待たなくても良いという長所がある。脳死の過程で起こり得る肝臓損傷のリスクも低い。だが、脳死者からの肝移植よりも手術が難しく、合併症のリスクが高くなる恐れもある。ソウル峨山病院は、肝移植手術全体の85%を生体肝移植で実施してきた。この5年間で実施した生体肝移植は年平均400回だ。

 ソウル峨山病院の肝移植全体(生体・脳死者)の生存率は1年基準で98%、3年基準で90%、10年基準で89%だ。韓国より肝移植の歴史が古い米ピッツバーグ大学メディカルセンターとカリフォルニア大学サンフランシスコ・メディカルセンターの肝移植生存率(1年基準で平均92%)より高い。ソウル峨山病院が2012-20年に行った小児生体肝移植では、生存率が1年基準で100%、5年基準で98.6%に達した。

 イ・ジウォンさんの手術を執刀したソウル峨山病院肝移植・肝胆道外科のイ・スンギュ碩座教授は、生体肝移植・脳死者からの肝移植の合計が世界最多の8500回以上執刀した世界的な権威だ。イ・スンギュ教授は「奇跡を生み出すことができたのは、絶体絶命の患者を救うためにチャンレンジ精神と情熱で一致団結した肝移植チームの医療陣と、手術後にまぶしいほどの生命力で日常生活を送っている患者たちのおかげだ」と語った。

チョン・ヘミン記者

ホーム TOP