▲尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が緊急の対国民談話で非常戒厳令を宣布した4日、ソウル汝矣島の国会で窓を破り中に入る戒厳軍。/写真=読者提供

 非常戒厳令宣布の2週間前に韓国警察が家宅捜索令状を確保し、複数の市民団体会員の個人情報を銀行で確認していた事実が4日までに分かった。令状の理由は国家保安法違反などだという。 

 尹大統領は前日非常戒厳を宣布する際「従北勢力剔抉(てっけつ、えぐり出すこと)」をその理由としていた。尹大統領は緊急談話の中で「北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守り、国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力を一挙に剔抉し、自由憲政秩序を守るため非常戒厳を宣布する」と説明した。

 国会など政界関係者によると、警察は先月中旬から5・18民主化運動や脱北民関連市民団体に所属する数十人の会員の個人情報提出を求める「金融取引情報提供要求書」を複数の銀行に発送していた。金融実名法によると、金融取引情報は裁判所の家宅捜索令状、金融取引照会公文書なしには閲覧できない。

 ある銀行幹部は「令状が添付された警察庁安保捜査隊の金融情報要請公文書が数十件送られてきたと先日報告を受けた」「最近もこのように大量の個人情報を一度に確認するのかと思ったことを覚えている」と説明した。

 警察は国家保安法違反などの捜査を常時行っているため、令状申請そのものは問題にはならないが、非常戒厳令宣布を前にした時期での国家保安法違反容疑による「大量の個人情報照会」については疑問視する声も出ている。一部では「従北勢力が国を混乱させているとの大義名分をでっち上げる目的で、警察が無理な捜査を行ったのでは」との疑惑も浮上している。

 国会行政安全委員会の関係者は「現政権発足後、国家保安法違反容疑で検挙に至る事案は増えている」とした上で「かなり以前から非常戒厳令が検討されていたのではないか」と疑っている。国家保安法違反による検挙者数は2019年12人、20年13人、21年27人、22年30人、23年48人と増加傾向だ。

 警察庁安保捜査局の関係者は「国家保安法違反容疑による令状申請は通常の業務だ」とコメントした。

キム・ボヨン記者

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