北朝鮮総合
命綱を着けない北朝鮮作業員、開城工団の送電塔撤去工事中に転落
京義線・東海線の南北連結道路の爆破、さらに開城工業団地の送電塔や電線の撤去など、南北をつなぐルートや施設を破壊する作業が北朝鮮で今も続けられているが、そのような中で電線撤去作業中に送電塔が倒壊する様子を撮影した動画が3日に公開された。その際に北朝鮮作業員が命綱がない状態で作業、送電塔から転落する事故も起こった。事故の様子は韓国軍の監視カメラで撮影されていた。
韓国国防部(省に相当)が3日に公開した動画を見ると、軍事境界線(MDL)と開城工業団地をつなぐ京義線道路付近の送電塔がバランスを失い倒壊する様子が映っていた。北朝鮮が撤去作業中のこれら送電塔は以前は韓国から開城工業団地に電力を送るものだった。鉄塔形態のこの送電塔は、北朝鮮が今年10月に南北の陸路断絶を理由に爆破したMDL北側を起点に、開城工業団地に続く京義線道路に数百メートル間隔で設置されている。
韓国側の汶山から北朝鮮の平和変電所に続く送電区間には合計48本の鉄塔があり、北朝鮮側には15本が設置されている。この動画は韓国国防部が先月30日に撮影したもので、北朝鮮作業員が送電塔の上で作業中に10メートル下に転落する様子、またその際に送電塔に激突する様子などが映っていた。
2020年に北朝鮮が開城工業団地の南北共同連絡事務所を爆破したことを受け、韓国側は電力供給をストップした。そのためこれらの送電塔は現在全く使われていない。韓国政府当局者は「金正恩(キム・ジョンウン)総書記が掲げる『南北2国家』を北朝鮮当局がごり押ししたため犠牲者が出た」「最低限の安全対策もないまま生身で作業させられる北朝鮮の劣悪な人権問題の実態を如実に示している」と指摘した。
韓国軍合同参謀本部によると、上記の工事と並行して北朝鮮軍は非武装地帯(DMZ)とその周辺で不毛地の造成作業や地雷設置作業を行っているが、その際に地雷が爆発する事故が複数回起こり、多くの死傷者が出ているという。これについて韓国軍合同参謀本部は今年7月「それでも北朝鮮軍は無理に作業を続けている」と指摘していた。
キム・ミンソ記者