▲イラスト=UTOIMAGE

 トランスジェンダー女性の女子競技参加を巡る問題が相次いでいるスポーツ界で、米国の大学女子バレーボールチームが最近、注目を集めている。このチームにトランスジェンダー選手がいることに反発し、他のチームが相次いで棄権し、敗戦しているからだ。米紙ニューヨーク・タイムズは11月28日、「トランスジェンダーの競泳選手を巡る『リア・トーマス問題』以降、スポーツ界でトランスジェンダーの人権に関してこのように激しい論争を巻き起こした選手やチームはない」と報じた。

 問題のチームは、カリフォルニアのサンノゼ州立大学女子バレーボールチームだ。今年4月、同チームのある選手が、かつては男性だったが性転換手術により女性になったことが分かり、相手チームはもちろん、チームメイトたちの間でも激しい論争が巻き起こった。サンノゼ州立大学のブルック・スラッサー主将は「トランスジェンダーであることを知らずに一緒に更衣室と寝室を使った。この選手が今よりさらに強い力で試合をすれば、ボールに当たって脳振とうを起こすのではないかと考えてしまい、恐ろしい」と語った。スラッサー主将をはじめ選手10人はトランスジェンダー女性の女子競技出場は公正でないとして、全米大学体育協会(NCAA)を相手取って訴訟を起こした。しかし、コロラド州連邦裁判所は25日、サンノゼ州立大学は女子トーナメントに参加可能だという決定を出した。

 今年8月にシーズンが始まると、他のチームは相次いでボイコットを宣言した。ボイシ州立大学は試合前にトーナメント出場を棄権した。同大学は声明で、「容易な決定ではなかった」としながらも、「すべての選手の助けとなる、より良いシステムが必要だ」と述べた。この他にも、これまでユタ大学、ワイオミング大学、ユタ州立大学などがサンノゼ州立大学との試合を棄権した。

 NCAAが規定通りこれらのチームに没収試合による不戦敗との判定を下すや、一部の選手はトランスジェンダー選手の参加を理由に相手チームが試合を棄権した場合の不戦敗扱い措置を取り消すよう緊急要請した。しかし、大学当局は、このような反応はトランスジェンダー差別にあたるとの見解を示している。サンノゼ州立大学は「あなたの娘が選手なら同じヘイトスピーチ(嫌悪言動)を受けてもいいと思うのか」とコメントし、該当選手を試合に出場させるとの方針を曲げていない。また、大学当局は学生保護のため選手の名前を公表していない。

 こうした騒動が収まる気配がないことから、政界も立ち上がった。米共和党の上下両院議員たちは今月18日、サンノゼ州立大学が所属するマウンテン・ウエスト・カンファレンスに書簡を送り、「生物学的男性が女子スポーツでプレーすることを許可するのは不公平だ」と抗議した。ドナルド・トランプ次期大統領も大統領選挙期間中に同チームに言及し、「トランスジェンダー選手を試合に出場させてはならない」と発言した。

 サンノゼ州立大学女子バレーボールチームは11月30日に決勝戦が予定されている。

キム・ナヨン記者

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