韓国野党、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の側近だった「柏峴洞開発事業」のロビイスト、キム・インソプ元韓国ハウジング技術代表は11月28日、大法院であっせん収賄罪による懲役5年の判決が確定した。2022年の大統領選以降、李代表と側近が起訴された複数の不正疑惑に関連し、初めて示された大法院の判断となる。この事件は大庄洞開発を巡る不正事件と構造が似ており、今後李代表に関連する裁判にもかなりの影響を及ぼすとみられる。

 大法院2部は、特定犯罪加重処罰法違反(あっせん収賄)の罪で起訴されたキム氏に懲役5年、追徴金約63億5700万ウォン(約6億8000万円)を言い渡した二審判決を確定させた。大法院は「下級審の有罪判断にあっせんの見返りなどに関する法理の誤解はない」とした。

 柏峴洞開発不正事件は、李代表が城南市長在任中の2014年から2016年にかけ、側近の鄭鎮相(チョン・ジンサン)元民主党代表室政務調整室長(当時の城南市政策秘書官)を通じ、キム氏の依頼を受け、民間事業者であるチョン・バウル氏に韓国食品研究院跡地の用途を4段階引き上げる便宜を図ったとされるものだ。キム氏は2005年から李代表と市民運動を行い、李代表が城南市長選挙などに出馬した時、数回にわたって支援した側近として知られている。キム氏はそうした親交を利用し、柏峴洞開発事業の当時、城南市による許認可などをあっせんする見返りに、チョン・バウル氏から約77億ウォンを受け取ったとして起訴された。

 この事件と関連して、李代表と鄭氏は、キム氏の働きかけでチョン・バウル氏に便宜を図り、城南都市開発公社に約200億ウォンの損害を与えたとして、背任罪で昨年10月に起訴され、一審が進行中だ。

 キム氏は一、二審でいずれも懲役5年、追徴金約63億5700万ウォンの判決を受けた。城南市による許認可をあっせんし、現金74億5000万ウォンと工事現場食堂運営権を供与された部分が有罪とされた。裁判所はキム氏の依頼通りに城南市が許認可を下したと判断した。事実上ロビー活動が成功したと見なしたことになる。ただ、キム氏が受け取った現金のうち2億5000万ウォンは貸与と見て無罪と判断し、追徴金はキム氏が同業者に分配したと主張する11億ウォンを差し引いた。

 キム氏は鄭氏に柏峴洞開発の土地用途変更、城南都市開発公社の事業からの排除などを何度も求めていたことが分かった。それは担当公務員にそのまま伝えられた。 鄭氏は当時、城南市の業務を事実上総括する立場にあった。

 城南市の都市計画チーム長は鄭氏から「キム氏が柏峴洞事業をやろうとしているが、ちゃんと面倒を見なければならない」「民間事業者の要求通りにうまく処理してくれ」などと言われたと証言した。また、城南市は公共性確保のために城南都市開発公社の参加を条件に掲げたが、鄭氏は担当課長に「城南都市開発公社は除外して進めることを決めた」と語ったという。その後、城南市は鄭氏と李代表(城南市長)の決裁を経て、土地用途の変更を推進し、4段階も上方修正した。城南都市開発公社は結局、事業から外された。

 裁判所は「城南市長室と政策室長室が市庁2階にあったため、公務員は李代表と鄭氏を『2階』と呼んでいた。公務員はキム氏と李代表、鄭氏の『特殊な関係』について熟知していた」と指摘した。キム氏が担当チーム長に「柏峴洞事業を進めようと思うが、2階もうまくやれと言っている」と話した部分が根拠になった。

 キム氏に対する今回の判決は、背任罪で起訴された李代表と鄭氏の一審で争点になる見通しだ。許認可の依頼が鄭氏を通じて伝えられ、李代表の決裁により実行された事実が認められたことになるため、李代表がキム氏に便宜を供与した根拠になり得るというのが法曹界の見解だ。公職選挙法違反事件で一審が李代表に懲役刑を言い渡した際、「柏峴洞の土地用途変更は(城南市長だった)李代表が自ら行ったことだ」と判断した点も影響を及ぼしかねない。

 ただ、今回の判決で裁判所はキム氏が李代表に直接働きかけを行ったのか、民間事業者に便宜を図った城南市の決定が違法だったのかなどについては明確に判断しなかった。李代表側は「当時キム氏とは連絡しておらず、用途変更は国土交通部の圧力があったためだ」と疑惑を否定している。公職選挙法違反事件の裁判で、裁判所は国土交通部による圧力を受けたとする李代表の主張は偽りだと判断した。

 柏峴洞開発不正事件は李代表が起訴された8件の事件で最も証拠が複雑で内容が膨大な「大庄洞・慰礼新都市開発不正事件と構造が似ている。いずれも李代表が城南市長だった時期に起き、開発業者とブローカーに利益を集中させ、城南市側に損害を与えたという内容だ。大統領選挙を控え、疑惑が浮上した点も共通している。

 一審のソウル中央地裁は現在、李代表の大庄洞・慰礼新都市開発、城南FC、柏峴洞事件を一括して審理している。

パン・グクリョル記者

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