▲北朝鮮貨幣。写真=TV朝鮮より

 北朝鮮の貨幣価値が今年初めに比べて4分の1程度に急落し、深刻な混乱状態に陥っていることが分かった。

 これは、26日付の毎日新聞が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が為替レートの不安定を招く勢力に対し、強力な対処を指示した内部文書が確認されたとして報道したものだ。

 北朝鮮のウォン対ドル為替レートは今年4月までは1ドル=8000ウォン前後だったが、夏ごろに急激に価値が下がり、11月中旬には3万ウォン台に達した。

 これは年初と比べると貨幣価値が4分の1近く大暴落したことになる。

 中朝貿易関係者は「11月20日時点で(北朝鮮の)新義州で1ドル=3万2000ウォンに達した」と証言したという。

 為替レート急落の主な原因としては、新型コロナウイルス流行で閉鎖していた国境を再び開放したために増えた輸入品需要と、これに伴う外貨需要の増加が挙げられるとのことだ。

 また、北朝鮮当局の統制範囲外での経済活動に対する強硬措置や密輸取り締まりも、貨幣価値暴落に影響している可能性が小さくない。

 毎日新聞が入手した治安部門向けの内部文書によると、金正恩(キム・ジョンウン)政権は「国家の為替レート安定を阻害する各種違法行為との闘争に共に立ち上がろう」と強調し、危機感を見せているという。

 特に、朝鮮労働党と治安部門は、大規模な両替を通じて為替レートの安定性を損なう行為を「逆賊行為」と見なし、強力に取り締まることを命令したと伝えた。

 さらに、最近北朝鮮内で「年内に貨幣改革がある」といううわさが広がり、両替需要がさらに増えて貨幣価値下落が加速化した。

 北朝鮮当局は「貨幣改革は実施しない」との布告を出したが、住民の不安はさらに高まっている。

 今年9月にはある住民が貨幣改革の手間を流したとして銃殺刑になったとのことだ。

 北朝鮮は2009年の金正日(キム・ジョンイル)政権時、貨幣改革で経済的混乱を招いたことがある。

 金正恩政権は今年4月、「社会安全に関する布告」で「国家の統制権の外での物資の生産、サービスの提供、物資大量保管と販売」などの経済活動を厳しく禁止している。

 毎日新聞は、北朝鮮住民が生活のために続けていた「小規模ビジネス」さえ継続が難しくなり、不満が高まっているとし、一部住民は経済的不満から意図的な放火や工場設備破壊を試みたとのうわさも広がっている、と報道した。

イ・ジョンミン記者

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