進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が偽証教唆事件の一審で無罪を言い渡された。この事件は、李代表が2002年に、当時の金炳亮(キム・ビョンラン)城南市長の不正を暴こうと、KBS放送のプロデューサー(PD)と手を組んで検事を詐称したことを巡って、罰金150万ウォン(現在のレートで約16万5000円)が確定した事件から始まる。その後、李代表は2018年の京畿道知事選挙の討論会で、この事件について「汚名を着せられた」と発言した。この発言により虚偽事実公布の罪で再び起訴されると、裁判の過程で、金市長の随行秘書を務めていたキム・ジンソン氏にうその証言を要求した-という内容の事件だ。キム氏は偽証の罪を認め、李代表が偽証を要求しているような内容が含まれている録音ファイルも提出した。ところが裁判所は、キム氏の偽証は一部有罪と判断しつつも、李代表については「故意がない」という理由で無罪だとした。頼まれもしないのに他人のために法廷でうその証言という罪を犯す人間がいるだろうか。判事は、そういう人間はいると言うが、疑問を持たざるを得ない。

 李代表は、キム氏に何度も電話をかけて「城南市とKBSの間で主犯を李在明に押し付けようという協議があったと証言してほしい」と言った。この内容は事実ではなかった。キム氏が「内容を知らない」と言うと、李代表は「そういう話を聞いたと言ってくれればいいんだ」と述べた。実際、キム氏はそういう趣旨で法廷証言し、李代表が「検事詐称汚名の虚偽発言」で起訴されていた事件では、李代表は無罪が確定した。それにもかかわらず、裁判部は「通常の証言要請と大きく変わらない」とした。「記憶にない」という人間に対して「自分に有利な証言をしてくれ」と言うことを、「通常の証言要請」と言えるか。

 李代表はキム氏に、自分の弁論要旨書も送った。その要旨書に合わせて証言してほしいという要請だといえる。偽証教唆の犯罪の意図があったと解釈できる部分だ。キム氏から供述書の草案を受け取って「もうちょっと具体的に、助けになるように書いてほしい」という趣旨の要求を伝えたこともあった。裁判部は、この部分も「防御権の程度を逸脱したとは見なし難い」とした。こんなやり方で判断したら、今後、大抵の偽証教唆は処罰が難しくなるだろう。

 前政権時代に大法院(最高裁に相当)は、李代表が京畿道知事選挙の討論会で「実兄の精神病院強制入院に関与しなかった」という虚偽発言をして控訴審で当選無効刑を宣告された事件を無罪の趣旨で破棄差し戻しとし、李代表が大統領選挙に出馬できる道を開いてやった。テレビ討論ではうそを言ってもいい、というとんでもない判決だった。今回の判決にも似たような点がある。控訴審では、いずれにしても偏見なく事実にのみ立脚した判決が出てくれればと思う。

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