社会総合
韓国5人組ガールズグループNewJeansの契約解除問題、弁護士5人に見解を聞いてみた
韓国の5人組ガールズグループ、NewJeans(ニュージーンズ)はプロデューサーのミン・ヒジン氏(元芸能事務所ADOR代表)に追随する形で現在の所属事務所ADORを離れることができるのか。ミン氏は20日、ADORの親会社である大手芸能事務所HYBEとの経営権紛争が7カ月目を迎え、「会社を完全に去る」意向を明らかにした。これに先立ち、ADORは今月14日、NewJeansのメンバーから『ミン氏のADOR復帰などの要求事項を14日以内に修正しなければ専属契約を解約する』という内容証明郵便を受け取った。業界ではNewJeansとADOR間の見解の相違が埋まる可能性は低く、結局法廷での争いに発展するとの見方が出ている。NewJeansによる最後通告の期限が2日後(28日)に迫る中、エンターテインメント業界専門の弁護士5人に見解を聞いた。
■契約解除は可能
弁護士らは「契約解約は可能」との見方だ。宋恵美(ソン・ヘミ)弁護士は「解約訴訟は双方による『信頼関係の破綻』がカギであり、アーティストが勝訴する判例が多い」とした上で、「所属事務所と関係がこじれたニュージンスに正常な支援がなされるかという大衆の認識、4月からHYBEがミン氏に対する監査に着手することを発表し、グループ活動が難しくなったというメンバーの主張も信頼関係破綻の根拠になり得る」と指摘した。ヤン・テジョン弁護士は「メンバーが『死んでも一緒に仕事ができない』と言えば解約自体を防ぐことは難しいのではないか」との見解だ。
ただ、違約金を完全に回避することは難しいという見方が出ている。宋弁護士は「夫婦が分かれることと慰謝料問題は別である離婚訴訟と似ている」とし、「解約訴訟の勝敗にかかわらず、違約金の支払いを命じる判例が多い。帰責事由の認定範囲により金額が軽減されることはあり得るが、完全免除は容易ではない」と予想した。趙光熙(チョ・グァンヒ)弁護士は「アーティストの違約金免除理由は主に所属事務所の暴言と暴行、未精算のような重大な被害事実だが、NewJeansに当てはめることは難しい」と述べた。チャン・ヒジン弁護士は「グループのアルバム発売、広報支援が一貫して行われ、精算金も業界では異例の早さで多く支給された。所属事務所が支援を怠ったと主張することは難しいのではないか」と話した。男性アイドルグループOMEGA Xの専属契約解約訴訟を勝訴に導いた盧鐘彦(ノ・ジョンオン)弁護士も「NewJeansが主張している創作権侵害などが違約金免除理由と認定されたケースはきわめてまれだ」と話した。
業界ではADORの責任が全くないと判断されれば、NewJeansが支払う違約金は最大で6000億ウォン(約657億円)に達すると推定している。盧弁護士は「契約期間が残った現役の世界的人気アイドルによる異例の訴訟であり、過去最高金額の違約金を巡り争うことになるだろう」と話した。
■NewJeansとミン氏の結び付きも争点
仮にADORに責任が認められれば、違約金が減額される可能性はある。弁護士らは「違約金軽減のシナリオを判断する上では、メンバーが公開したミン氏支持の映像に注目すべきだ」と指摘する。盧弁護士は「ミン氏のプロデューシングが契約の前提条件であるか、グループ活動に重要な要素であれば、NewJeansに有利になる可能性がある」と話した。宋弁護士は「メンバーを練習生時代から育ててきた本部長級マネージャーが会社を離れたことを受け、グループもそれに追随して、勝訴したケースがある。所属事務所の経営陣変更がグループ活動と契約信頼関係に大きな影響を及ぼす恐れがあると解釈した事例だ」と述べた。その上で「誰がメンバーを初めて選抜し、人気を高めたのかについても双方が激しく対立することになりそうだ」とした。
NewJeansメンバーのハニがHYBE傘下の別の会社に所属するレーベルマネージャーから「放っておけ」と言われたという主張も重要な根拠となり得る。これに先立ち、労働庁は「芸能人の労働者としての性質が認められず、この問題に労働庁が措置を下すことは困難だ」とする趣旨の説明を行った。しかし、宋弁護士は「訴訟段階でメンバーは人格権の侵害を十分に問題視できる」と話した。盧弁護士は国政監査の過程でHYBEの内部文書として公開された「New(Jeans)を捨て、新しく組み直せばよい」という文言も「人格権侵害の根拠としてなり得る」と話した。
ただ、人格権侵害を主張する場合、傘下に複数の音盤企画会社を抱えるHYBEの独特なマルチレーベルシステムが争点になる可能性がある。盧弁護士は「メンバーが指摘した問題の主体が所属事務所のADORなのか、親会社のHYBEなのか見分けがつかない」とし、「異なる系列会社の社員間で中傷行為があっても、法理的には職場でのいじめではなく、会社感での感情対立と解釈される可能性が高い」と話した。
メンバーが勝訴しても、ADORに商標権が帰属する「NewJeans」という名称とこれまでの発表曲は使えない可能性が高い。チャン弁護士は「会社が使用を放置したとしても、追加精算と賠償問題が発生する恐れがある。契約効力停止の仮処分があっても、ファンが『NewJeans』としてのアルバムを購入した際、メンバーと所属事務所の収益分配構造まで清算されることはない」と説明した。
ユン・スジョン記者