▲イラスト=UTOIMAGE

 札幌で過ごした1年は、かなり興味深い時間だった。ワーキングホリデーの行き先として、ただ暑いのが嫌だという理由から、日本列島最北端の北海道は札幌を選んだのだが、この1年間は北海道の魅力にどっぷりとはまらざるを得なかった。観光と農業が主要産業である北海道では、大小の祭りが後を絶たない。大自然の恵みで暮らす北海道の人々は、祭りを通じて土地と海に感謝し、日常の安泰を祈願する。こんな経験ができるのも今だけだと思い、札幌近くの小都市で開催される祭りという祭りを忙しく訪れた。もう10年前のことだ。

 個人的に最も記憶に残ったのは富良野市だ。札幌から電車で3時間の所にある富良野市は、人口2万人の小さな都市だ。観光客の間では、広々としたラベンダー畑が有名だ。しかし、富良野の本当の魅力は、「北海へそ祭り」にある。富良野市は自らを「北海道のへそ」と称する。北海道の真ん中にあるからだ。「へそ」という祭りのコンセプトはこうして生じた。へそ祭りの参加者たちは上着をまくり、滑稽な絵が描かれた腹を出したまま市街地を行進する。数千人が自分の腹を出して音楽に合わせて行進する姿はまさに壮観だ。この「へその行列」を一目見ようと人口2万人の小都市に毎年約7万人の観光客が集結する。

 へそ祭りで特に印象的だったのは、人波の構成だ。白髪の老人から小学校入学前の子どもたちまで、さまざまな人々が一つになって、自分の地元の祭りを楽しんでいた。富良野市民たちは町内の隣人、会社の同僚、学校の同窓生たちとチームを組んでパレードに参加する。彼らにとっては、準備の段階からが地域の人々と共に行う祭りであるわけだ。札幌に住む日本人の友人たちも、幼い頃、両親や近所の大人たちに連れられて雪祭りに参加し雪の彫刻を作ったのを、楽しい思い出として心にとどめていた。こうして地域社会は祭りを通じて絆を深めていくのだ。

 地域の祭りといえば、韓国もまんざらではない。地方自治制度が始まった1996年の412件に比べると、ざっと3倍に増えた。地域祭りは、地域消滅時代に少しでも地域を宣伝し、観光客を集めようとする苦肉策でもある。これに向け、韓国政府も最近、来年度の普通交付税の改善策を発表し「地域の行事や祭りに予算をより多く使えば、その翌年は交付税を削減した罰則規定を廃止する」と明らかにした。おそらく多くの地方自治体がすでに「第2の金泉キムパプ祭り」を開催するため知恵を絞っていることだろう。

 祭りの成功を願わない人はいない。しかし、成功の概念は変わらなければならないと思う。有名な芸能人を呼んで人をたくさん集め、食べ物をたくさん売り、売り上げだけが多く出れば成功した祭りと言えるのだろうか。もちろん、これさえもままならないのが大半だろうが、地域のアイデンティティーなどは少しも盛り込まれず、住民たちも後回しにされた祭りが、地域の長期的な競争力確保にどれほど役立っているか分からない。キムパプ祭り、ラーメン祭りが成功したなら、近いうちにこれをまねたトッポッキ祭り、天ぷら祭りも登場するだろうという冗談は、何の理由もなく出てきたわけではないはずだ。今はそのような量産型祭りの興行よりも、たとえ小さくても地域社会の結束に寄与する祭りの存在がはるかに重要だ。

 今年で56回目となったへそ祭りも、最初は参加者を集めることができず、わずか11人でパレードを行ったという。ところが、今では2日間で約4000人が参加する北海道きっての祭りとなった。スタートがやや派手さに欠けたからといって何ら問題にはならない。その瞬間だけでも地域社会が生きているということを感じられるなら、それで十分ではないか。地域祭りが経済的成果を追い掛けるのも重要だが、それよりはわずか数日でも、自分が住む地域に愛着を抱き、隣人と交流できる場として機能してほしい。

イ・ドンス青年政治クルー代表

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