▲グラフィック=イ・チョルウォン

 生活用品を製造する中小企業のセールスマンであるキムさん(61)は、結婚後約30年間、掃除や洗濯、料理などの家事を半数以上担当している。キムさんは営業担当であるため通勤時間が融通が効く一方で、妻はスタディーカフェを運営しているため、一日中忙しいのだ。キムさんは「依然として妻とは仲が良く、夫婦同伴の集まりに行けば、皆からうらやましがられる」と笑みを浮かべる。

 キムさんの夫婦のように結婚生活に満足している既婚者が4人中、3人に上ることが調査の結果で明らかになった。11月17日、統計庁の「2024年社会調査」によると、今年5月の家族関係満足度調査で「配偶者との関係に満足している」という既婚者が75.7%(「非常に満足の45%+若干満足の30.7%」)と、同調査(隔年制)が始まった2008年以来、最高値となった。自らおしどり夫婦と思っている割合は14年には3人に2人の65.2%だったが、22年には72.1%に増え、今年は75%を突破した。こうした「結婚に対する肯定的認識の拡散」は、4月から8月まで5カ月間連続で続いており、婚姻件数が1年前より増えた背景になったと専門家たちは口をそろえる。

■満足度上昇の立役者は家事分担

 妻の年代別に見ると、20代以下の結婚生活満足度が90.2%と最も高く、次いで30代(85.1%)、40代(73.1%)、50代(67.4%)、60歳以上(64.3%)の順となった。夫は30代(92.6%)の満足度が最も高く、次いで40代(83.3%)、20代以下(82%)、50代(78.7%)、60歳以上(76.2%)の順となった。全ての年齢層を合わせると、結婚生活に満足している夫の割合は80.5%と、妻(70.7%)よりも9.8ポイント高かった。

 結婚生活に対する満足度が高まった最も大きな要因は、育児・家事を分担する夫婦が増えたためと思われる。統計庁の調査では、キムさん夫婦のように「私たち夫婦は家事を公平に分担している」という回答は、2008年には夫が8.7%、妻が9%に過ぎなかったが、今年は夫が24.4%、妻が23.3%と過去最高になった。妻の年代別には、20代以下が55.2%と最も高く、30代(36.8%)、40代(25.2%)、60代(19.5%)、50代(17.5%)、80歳以上(17.1%)、70代(16.6%)の順となった。息子を保育園に送り迎えし、放課後は一緒に遊んでいるという会社員のハさん(40)は「活動的な息子なので、母親よりも父親と多くの時間を過ごしている。掃除や洗濯は妻と分担することで妻と話し合った」とし「少なくとも家事のために妻に小言を言われることはないと自負している」と言う。嘉泉大学心理学科のイム・ヨンジン教授は「家事分担で配偶者の心理的満足度が高まれば、配偶者間の疎通も肯定的に変化する」と説明する。

 一時「妻がコムタンを作って旅行に出掛けるのはつらい」と話していた60代の夫たちも、最近では家事を負担に思わなくなっているようだ。今年60代の妻が「夫と家事を分担している」と答えた割合(19.5%)は2014年(17.3%)よりも2.2ポイント上昇した。コンビニを経営している妻に代わって家事を担当しているイさん(65)は「今年初めに退職し、ユーチューブなどを見て料理を習い始めた」とし「私が料理を作っている間、妻はテレビを見ているが、今ではごく普通のこと」と話す。

■「結婚に対するインセンティブを引き上げる時」

 配偶者の不正や暴力などを我慢して無理に結婚生活を続ける男女が減った点も、結婚に対する満足度が高まりを見せた原因と思われる。「理由があれば」、または「場合によって」離婚できるという回答は、男女合わせて68.7%で、2008年(39%)の1.8倍になった。既婚者の場合、この割合は2008年の33.4%から今年は64.5%へと急増した。

 既婚者の結婚満足度が高まり、「結婚した方がいい」という回答(未婚者を含む)も今年は52.5%と、2年前(50.1%)に比べて増加した。専門家たちは「結婚に対する肯定的認識が拡散している最近の傾向を生かして結婚に対するインセンティブ(誘因)を今こそ引き上げるべき」と主張する。明知大学のウ・ソクチン経済学科教授は「最大3億ウォン(約3300万円)まで贈与税を免除する婚姻贈与税控除など現行の支援策は、一部の国民しか恵沢を受けることができない」とし「公共住宅の割合を大幅に増やすなど、多くの国民が恵沢に預かれるよう支援策を増やさなければならない」と促した。

チョン・ソクウ記者、クォン・スンワン記者、カン・ウリャン記者

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