韓国の女子サッカー選手たちが試合のために目隠しのないテントで服を着替えていたことが明らかになり、その劣悪な大会環境が問題になっている中、韓国プロサッカー選手協会の池笑然(チ・ソヨン)会長(33)=シアトル・レインFC=が「米国なら大変なことになる」と声を上げた。

 池笑然は今月11日、聯合ニュースの取材に「いつもそうしてきたからだと言うけれども、もう変わらなければならない時になった」とした上で、「韓国の選手たちはロッカールームがなくても、当然のこととしてトイレやテントの下でそのまま服を着替える。外国ならば大騒動になるところだが、いつからか韓国の選手たちは平気でこれを受け入れている」と語った。

 今年8月に韓国で全国女子サッカー選手権が行われた時、競技場にきちんとしたロッカールームが備えられていなかったため、選手たちは目隠しのないテントやトイレで着替えなければならなかった。同大会は韓国国内の女子サッカー大会では最も規模が大きいものだ。こうした状況は社団法人・韓国プロサッカー選手協会の暴露により明らかになった。国際プロサッカー選手会(FIFPRO)も同月、公式ホームページに「人々の前で着替えなければならなかった女子選手たち 猛暑の中、韓国最大規模の大会に出場」という見出しで報じ、この状況をシェアしたりもした。

 池笑然は「こんな話をしてもすぐには何も変わらない。それでも、若い人たちには今より良い環境を与えなければならない」「声を上げたら、悪く言われるのは当たり前のことだ。今は本当の現実を見て、気づくべき時だ」と述べた。

 その上で、「WKリーグ(韓国女子実業サッカー)選手の年俸は10年間止まったままだ」と、女子サッカーの劣悪な待遇についても苦言を呈した。名目上、WKリーグの最高年俸は5000万ウォン(約550万円)に制限されている。この上限制が決まったのは2009年のことだ。新人選手たちは1次指名時に3000万ウォン、4次指名後なら2000万ウォンを受け取る。

 ただし、英米圏から出ている「男女選手同一賃金」を要求しているのではないとも話す。池笑然は「決して男子同様の年俸にしてほしいというわけではない。それが欲であることは私も知っている。リーグでも、代表チームでも、基本的に整備すべき枠組みは整備しなければならないということだ」と説明した。

 また、「WKリーグとイングランド・ウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)は同時期にスタートしたが、今では雲泥の差だ。変化の時期を逃したような気もする。それでも前進しなければならないという思いから、選手協会などが努力しているのだ。韓国では皆、女子サッカーは『うまく行かない事業だ』と言っているが、『やってみるに値する事業』に認識を変えたい」と語った。WKリーグは2009年、WSLは2010年に創立された。大韓サッカー協会の傘下機関である韓国女子サッカー連盟が運営するWKリーグと違い、WSLは創立当初からイングランドサッカー協会(FA)が直接責任を持って運営する中で急成長を遂げた。

 韓国プロサッカー選手協会では女子選手たちの待遇を改善するため、今月14日にソウル市江南区にあるザ・リバーサイド・ホテルのノベラ・ホールで独自の授賞式を開催した。同じ日に2024シーズンの女子実業サッカーWKリーグの授賞式を開き、ベスト11や最優秀選手(MVP)などを選定した。

 池笑然は韓国女子サッカー代表チームのトップ選手だ。2011年に日本のINAC神戸レオネッサに入団した。そして、2014年から英チェルシーFCウィメンで8年間活躍し、2017年にはイングランド1部リーグのWSL優勝と2021年欧州ウィメンズ・チャンピオンズ・リーグ優勝などに貢献した。2022年には水原FCウィメンに合流し、韓国女子実業サッカーWKリーグも経験した。そして今年、世界最高の舞台とされる米女子プロサッカー(NWSL)のシアトル・レインFCに入団した。

チェ・ヘスン記者

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