▲グラフィック=ソン・ユンヘ

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の公職選挙法違反事件で懲役1年、執行猶予2年の一審判決が下され、李代表の司法リスクが一気に現実化した。民主党は無罪判決または100万ウォン(約11万円)未満の罰金刑を予想する向きが多かった。しかし、予想を超える懲役刑が言い渡され、二審以降も李代表が追い込まれた状況で裁判が進む可能性が指摘されている。

 仮に一審判決のまま大法院で刑が確定すれば、李代表は被選挙権が10年間制限され、次の大統領選には出馬できなくなる。さらに、今月25日には公職選挙法違反事件より反論がはるかに難しいとされてきた偽証教唆事件の一審判決も予定されている。このため、金融投資所得税の廃止方針を表明にするなど、最近中道勢力の取り込みを図ってきた李代表が方針を変え、与党との対決をエスカレートさせるのではないかとの見方が出ている。

 李代表はソウル中央地裁での一審判決後、直ちに国会に移動し、最高委員らと緊急会議を開いた。会議は国会本館の民主党代表室ではなく、議員会館にある李代表の事務室で非公開で行われた。趙承来(チョ・スンレ)首席広報は「一審判決は検察が始めた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の大統領選候補たたき、政敵抹殺の試みに判決で応えたものだ」と述べた。李代表は会議の席上、「党代表を動揺せずに務めていく」意向を表明したという。趙広報は16日にソウル都心部で開かれた集会について、「(李代表も)普段通りに参加する」と説明した。

 民主党は判決に衝撃を受けている。これまで民主党議員は、李代表の公職選挙法違反事件について、対外的には「100%無罪」だと主張してきた。党内でも「たとえ有罪となっても、大統領選出馬には支障がない100万ウォン未満の罰金刑が言い渡されるだろう」との予測が支配的だった。同党関係者は「李代表の司法リスクの中で最も難度が低いとされてきた最初の関門で難関にぶつかった」と話した。

 法曹界からは二審以降も李代表には見通しが厳しいとの分析が多く聞かれる。公職選挙法は一審裁判は6カ月、二審以降はそれぞれ3カ月以内に裁判を終えるよう定めている。

 25日に予定される偽証教唆事件の一審判決も李代表には負担となる。この事件は昨年9月、ソウル中央地裁で令状審査を担当した劉昌勲(ユ・チャンフン)部長判事が李代表の勾留状の請求を棄却しながらも、「偽証教唆容疑は疎明されているとみられる」と判断した事件だ。検察は公職選挙法違反事件では懲役2年を求刑したが、偽証教唆事件に関しては懲役3年を求刑した。法曹界関係者は「公職選挙法違反事件で一審が懲役刑を宣告し、偽証教唆事件の一審の政治的圧迫による心理的負担が低下したことも李代表には負担になり得る」と話した。

 2027年3月に行われる次期大統領選前に、一審判決の通りに大法院で刑が確定すれば、李代表は大統領選出馬の道は閉ざされる。このため、今回の判決を契機として、李代表が掌握してきた民主党は屋台骨が揺らぎかねない。李代表は偽証教唆事件、大庄洞事件、サンバンウルによる対北朝鮮違法送金事件などの審理と一審判決を相次いで控えている。民主党関係者は「党が引き続き『李在明擁護組織』として活動することは難しいのではないか」と語った。

 

 当初李代表と民主党は、裁判で無罪または大統領選出馬に支障のない刑を引き出し、次期大統領選で政権を奪う考えだった。李代表が今年の総選挙後、中道層に支持を広げるため、金融投資所得税廃止など伝統的民主党支持層が反発する政策を試したのもそうした狙いだった。

 しかし、元民主党役員は「司法リスクが現実化し始め、状況が180度変わった。李代表は『政権による李在明弾圧』という構図を前面に掲げて支持者を結集し、政権打倒闘争に出る可能性がある」と話した。民主党の朴柱民(パク・チュミン)国会議員が「政治的な起訴と判決を歴史がはっきりと記憶するだろう」と述べ、同党の金星煥(キム・ソンファン)国会議員が「16日は(集会が開かれる)光化門に必ず出向かなければならない」と呼びかけるなど強硬発言も相次いだ。民主党はこれまで李代表の判決公判を控え、裁判所を刺激することを控えてきたが、現在は強硬派を中心に「判事弾劾」など司法に圧力をかける可能性もささやかれている。

キム・ジョンファン記者

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