自動車産業
中国・東南アジア自動車市場で快走する中国、日本車メーカーに巻き返しの可能性はあるか
フォルクスワーゲンなど欧州勢に続き、日本の自動車メーカーも揺らいでいる。世界の自動車業界が「チャイナリスク」に直面しているのだ。ホンダ、日産自動車など日本の自動車メーカーは、世界最大の市場である中国市場で中国車に押されている上、数十年間にわたって地盤を築いてきた東南アジアでも中国車に追い上げられている。 内燃機関車、ハイブリッド車に依存してきた日本の自動車メーカーは電気自動車(EV)への転換で米中に出遅れたが、収益性の面ではそれなりに善戦していた。しかし、最近は中国市場での苦戦に加え、中国以外の市場でも中国車に押され、チャイナリスクを回避できなくなった。
日産は7日、全世界の従業員約13万人の約7%に相当する9000人を解雇し、生産能力を20%を削減すると発表した。さらに、日産が保有する三菱自動車の株式の約3割を売却し、最大686億円の資金を調達するとした。これにより、日産の三菱自に対する出資比率は現在の34%から27%に低下する。収益性の悪化に伴う措置だ。日産は第2四半期(7~9月)の営業利益が前年同期比84.7%減の319億円にとどまった。第2四半期の中国での販売台数が12.7%減少し、収益性が大幅に悪化した。日本での販売台数は小幅ながら増えたが、中国で実績悪化が足を引っ張った。
内田誠社長はオンラインで行った記者会見で「世界13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として責任を痛感する」と述べた。内田社長は11月から報酬の50%を返上する。他の経営幹部も内田社長に準じた自主返上を行う。
■中国・東南アジアで中国に追撃される日本車
日本の自動車メーカーが業績悪化を発表する背景には、中国のEVメーカーの急成長がある。ホンダは第2四半期の営業利益が前年同期比14.6%減の2579億円だった。第2四半期には日本と米国で販売台数が前年同期比でそれぞれ22%、8%増えたが、全世界の販売台数の約4分の1を占める中国で販売台数は42.9%急減した。最大手トヨタの営業利益も前年同期比19.6%減の1兆1557億円だった。
中国市場でEV分野では後発の日本車は大きな打撃を受けている。今年上半期に中国市場で中国ブランドの販売台数(約556万台)は、昨年同期比約18%増加した。しかし、同じ期間にトヨタ、ホンダ、日産など日本ブランドの販売台数(約147万台)は約12%減少した。
日本車はこれまで90%前後のシェアを占めてきた東南アジア市場でも、中国製EVに追撃されている。最近東南アジアではインドネシア、タイなどの政府がEV普及政策を取り、EV市場が拡大している。昨年東南アジア最大の市場であるタイでトヨタ、ホンダなど日本ブランドのシェアは78%に低下した。一方、中国車のシェアは一昨年の約2倍の11%に上昇した。特にEVの中国車のシェアは約80%に達した。
■遅ればせながらEVで追随する日本
日本の自動車メーカーは最近になって、大規模な投資と合従連衡を通じ、ライバルとも手を結びながら、EVへの転換を急いでいる。ホンダと日産がEVと車両用ソフトウエアの分野で3月に同盟を結び、8月には三菱自も合流した。ホンダの三部敏宏社長は「三菱自の強みと経験が加わることで、グローバルでの電動化や知能化に関する各種課題がよりスピード感を持って解決され、トップランナーとして社会変革をリードしていけることを期待している」と述べた。トヨタもスバル、マツダ、スズキなど日本メーカーと次世代EV技術で提携している。このほか、ホンダは今年5月、2030年までにEVの拡大と自動運転などのソフトウエア開発などに10兆円を投資する計画を明らかにした。
ただ、日本企業が大規模な投資をしても、今後の業界地図を塗り替えるのは難しいという見方もある。既にEVの業界生態系を備えた中国との格差が大きいほか、人口密度が高く道路が狭い日本では充電設備の設置に限界がある点も問題点として挙げられている。業界関係者は「欧州連合(EU)、米国などが中国製EVの関税を引き上げ、後発の日本は時間を稼いだが、すでに格差が大きく、追い付けるかどうかは疑問だ」と話した。
イ・ヨングァン記者