▲グラフィック=ヤン・インソン

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の フェイスブックとインスタグラムを運営する米メタが、韓国のフェイスブックユーザー98万人の宗教、政治観、同性婚の状況などの個人情報を広告に活用していた事実が明らかになり、韓国個人情報保護委員会は5日、全体会議を開き、メタに個人情報保護法違反で課徴金216億1300万ウォン(約23億8000万円)と過料1020万ウォンの処分を下すことを決定した。過去にもメタ、グーグルなどがユーザーが外部サイトで活動した情報を無断収集し「カスタマイズ広告」に活用して制裁を受けたことはあるが、今回のように個人のデリケートな情報を流用した事例が摘発されたのは初めてだ。

 今回の課徴金額は同委による課徴金処分としてはこれまでで3番目に多い。最高は2022年のグーグル(692億ウォン)、2位は同年のメタ(308億ウォン)だった。当時メタはユーザーがフェイスブックIDでログインした外部サイトの活動情報を無断収集し、フェイスブックのカスタマイズ広告に活用したとして、課徴金処分を受けた。

 同委によると、今回メタは2018年7月から2022年3月まで韓国国内のフェイスブックユーザー98万人の宗教、政治観、同性婚の状況、脱北者かどうかなどデリケートな個人情報を使い、広告収益を上げていたと指摘された。広告主4000社余りがそうした情報を利用して広告を行った。

 フェイスブックには宗教、同性婚など自身の情報を入力する「プロフィール」機能があるが、その情報が広告に利用されていた。メタはプロフィールに入力された情報だけでなく、利用者がどんなコンテンツに「いいね!」を押すのかまで把握し、分析・活用していた。同委関係者は「そうした情報に基づき、メタは全世界のユーザーを9万7000のグループに分け、『超精密カスタマイズ広告』に活用した」と説明した。例えば、南北経済協力事業を行う団体が「脱北者」に広告を送りたい場合、「脱北者」グループに分類されたユーザーに「南北経済協力事業」の広告を表示する方式だ。

 同委は一連の行為を韓国の個人情報保護法違反と判断した。同法によれば、宗教や政治観などデリケートな個人情報は利用者の同意を得ずに使用できないが、メタはユーザーの同意を受けていなかった。同委関係者は「フェイスブックの『データポリシー』にあいまいに情報を収集できるとしているだけで、収集される情報、収集目的なども明示していなかった」と語った。

 広告主はそうした情報に基づいてカスタマイズ広告を流した。同委によると、メタは2019年、市民団体からカスタマイズ広告を出したいという要請を受け、プロフィールに「同性と結婚」と入力したユーザー情報を無断で広告に活用した。ユーザーがフェイスブックにログインすると、その市民団体の人権教育行事の広告が表示された。同委関係者は「ユーザーは問題の市民団体がどうやって私の性的指向を知り、広告を出し続けるのか驚いたはずだ。厳格に管理すべき個人の性的指向などの情報を密かに収集・使用した重大な違法行為」と指摘した。

 これと関連し、メタ側は「ユーザーのプロフィールなどの情報をグループ化し、広告主の要請を受け、対象グループに広告が表示されるようにしたものであり、個人のデリケートな情報を収集したわけではない。個々人の身元が広告主に流出したこともない」と主張したという。

 同委によると、メタがこうした手法で上げた収益は、メタ側が資料提出を拒否したため、把握できなかった。課徴金の金額はメタの売上高全体と韓国国内のユーザー数などに基づき算出した。

 メタが同委の制裁を受けたのは今回が初めてではない。2020年以降、6回の制裁を受け、5回は課徴金処分も伴った。課徴金の総額が720億ウォンを超える。メタはこうち3件について行政訴訟を起こしている。

 今回の決定について、メタコリア側は「委員会の制裁議決書を詳細に検討した後、対応を決める」としている。メタは同委が調査に着手すると、デリケートな個人情報収集を中断し、作成したグループのデータも破棄したという。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者、キム・ヨンウ記者、ファン・ギュラク記者

ホーム TOP