▲イラスト=イ・チョルウォン

 大邱市のある小学校は、登校後に生徒の携帯電話を回収せず、下校まで電源を切るようにさせている。しかし、同校のキム教師(46)は1週間に2-3回、授業中に携帯電話が鳴るという。キム教師はそのたびに子どもたちに「早く電源を切ろう」と促すが、本当に切ったかどうかは直接確認していない。生徒たちから「なぜ私の携帯電話を見るのか。人権侵害だ」と言われそうで、気が気でないためだ。キム教師は「子どもたちが『人権侵害』という言葉を常時使っているので、携帯電話を切ったかどうかを確認するだけの正当な生活指導が負担でならない」と肩を落とす。

 最近、国家人権委員会が校則により生徒たちの携帯電話を回収することは「人権侵害」には相当しないとの判断を下したものの、現場では依然として生活指導が容易でないことが分かった。ここ10年間凝り固まってきた認識が、依然として生徒の間に広がっているからだ。

 教師らは、携帯電話のために生徒らと格闘するのが日常だという。江原道のある高校は、朝生徒たちの携帯電話を一斉回収し、下校前に返している。ところが、こっそりと携帯電話を使用する生徒が多い。同校のイ教師(48)は「携帯電話の回収規則に不満を抱いている子どもたちがあまりにも多く、隠れて携帯電話を掛けるのを見ても押収できずに見なかったふりをする」と言う。同校には今年初め「携帯電話の回収は生徒の人権侵害」という貼り紙が貼られた。昨年は、ある生徒が携帯電話の回収について教育庁に苦情を申し入れたこともある。イ教師は「携帯電話の回収が人権侵害という判断が長い間維持されてきたことで、生徒たちもこれをよく心得ている」とし「なぜ携帯電話の回収が人権侵害ではないのかについて、具体的に案内されなければ、現場では混乱が続くほかはない」と苦しい事情を口にする。

 このため、校内での携帯電話の使用を最初から法的に禁ずるべきだという声も出ている。校則だけでなく昨年9月、教育部(日本の省庁に相当)が「授業中に携帯電話を使った場合、押収できる」という学生生活指導告示を設けたにもかかわらず、力不足だというのだ。最近、「国民の力」のチョ・ジョンフン議員は、校内での携帯電話の使用を禁止する「初等・中等教育法一部改正案」を代表発議した。当改正案は「生徒は教育目的など教師が許容する場合を除いては、校内で携帯電話やタブレットPCなど、スマート機器を使ってはならない」といった内容だ。同法案について、教育部が17市道教育庁などに「修正」、または「非同意」の意見があれば申し出るよう促したものの、16市道が提出していない。反対意見がないという意味だ。慶南道教育庁だけが「現在の告示でも携帯電話の使用を十分に禁止できる」として同意しない旨を提出した。

オ・ジュビ記者

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