▲イラスト=UTOIMAGE

 ウクライナ南部のヘルソンでロシア軍がウクライナの民間人を狙った無差別ドローン攻撃を行っている。米ワシントンポスト紙が10月31日に報じた。現地住民らは「人間サファリだ」などと語り合いながら恐怖に震えている。

 ロシア軍が2022年3月、ウクライナ侵攻を開始した直後に占領したのがヘルソンだ。ウクライナはそれから9カ月後にこの地域を奪還したが、ロシア軍は周辺のドニプロ川対岸に兵力を再び配備し、ドローンを飛ばして手りゅう弾や対人地雷を投下するなど軍事面での圧力を強めている。

 ドローンの主な標的は救急車だが、消防車、路線バス、民間人の乗用車なども攻撃対象となっており、自転車に乗る子どもや買い物中の高齢者も例外なく攻撃を受けているという。

 ヘルソンに住むオレナ・ボイコさんは先月初め、8歳の息子ヘンリク君を含む4人の子どもが空き地で遊んでいる時に上空を旋回する軍用ドローンを発見した。ボイコさんは木の下からドローンの注意をそらし、子どもたちには安全な場所に逃げろと叫んだ。幸いドローンは攻撃せず姿を消したが、ボイコさんと息子は激しい恐怖に襲われた。ボイコさんとその家族はこの事件後にポーランドを経由してノルウェーに避難した。

 このような形のドローン攻撃は今年7-10月にはさらに激しくなった。この時期にヘルソンではドローンや地雷による攻撃で133人が犠牲になり、1350人がけがをしたという。ヘルソン州のオレクサンドル・プロクジン知事は「今年8月以降、ロシア軍はヘルソンだけで7000回以上にわたりドローン攻撃を行った」とした上で「これは標的を定めたテロだ。ロシア軍は自分たちが誰を攻撃しているか理解しており、しかもSNS(交流サイト)ではどうやって民間人を殺傷したか自慢もしている」と批判した。

 ロシア軍のドローンは、プラスチック爆薬を使った小型の対人地雷を都心に投下しているという。この地雷はその特異な形から「花びら地雷」と呼ばれ、偽装のため国防色(カーキ色)や茶色に塗装されている。ロシアは対人地雷禁止条約に加盟していないため、戦場でこの地雷をドローンを使って広い地域に投下しているという。

 英BBCも「ロシア軍ドローンがヘルソンの民間人を狙っている証拠」として関連する動画を公開している。中にはドローンが自転車に乗っている民間人や乗用車を追跡し爆弾を投下する様子を撮影したものまである。

 ウクライナ安保協力センターのソロミヤ・コマ代表は「ロシア軍による民間人へのドローン攻撃は、ウクライナを交渉テーブルに引き出す圧力をかけるためだ」と指摘している。

チェ・ヘスン記者

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