▲イラスト=李撤元(イ・チョルウォン)

 大学の同期生など数十人の女性の顔にわいせつな写真や動画を合成する性的ディープフェイク画像を作成し、これを匿名性の高いメッセージアプリのテレグラムを通じて広めた「ソウル大学ディープフェイク事件」の主犯に一審で懲役10年、共犯に懲役4年が宣告された。この種の犯罪では異例とも言える厳しい判決だ。判決理由について裁判長は「被告らは標的を定めるように被害者を選び、性的に侮辱し人格を抹殺した」「法と道徳を無視すればどうなるか社会に警鐘を鳴らす必要がある」と説明した。

 この事件が報じられると他の大学でもテレグラム上で同じようなチャットルームが相次いで発見された。被害者の中には大学生だけでなく教師や女性兵士、さらには中学生や高校生など未成年者も含まれていた。今年8月にSNS(交流サイト)に掲載された「ディープフェイク被害学校リスト」には全国400の小中高校の実名が掲載され、社会に衝撃を与えた。海外のセキュリティー会社による調査では、昨年7-8月にディープフェイクの標的となった個人の53%が韓国人だったという。今回のソウル大学ディープフェイク事件一審判決は「厳罰を下してでもこの問題を解決すべき」との判断に基づくものだった。

 ディープフェイク画像などを作成しこれを広めることは人間の魂を破壊する重罪だが、これを防ぐ制度は今のところ穴だらけだ。実刑が宣告されるケースも少なく、単なる所持や視聴だけだとこれまでは処罰の対象にもならなかった。社会問題化した後の9月になって初めて単なる所持や視聴だけでも処罰できる法律が制定された。しかしディープフェイク画像はテレグラムを通じて広がるため摘発が難しく、実際に一部では今もテレグラムに新たなチャットルームが立ち上げられるなど犯罪行為は続いている。

 特に懸念すべきは犯人に占める10代の割合が非常に高い点だ。今年警察に検挙されたディープフェイク性犯罪の犯人474人のうち10代は381人、率にすると80.3%に達した。彼らはこれが犯罪という認識さえなく、単なる遊びと考えるケースが多いという。今回の判決でディープフェイク性犯罪が重罪であり、この罪を犯せば人生を棒に振るという現実を社会全体がしっかりと認識しなければならない。

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