▲イラスト=キム・ソンギュ

 4年制大学の工学部を卒業し、30年以上大企業で技術職として働いたKさん(65)は2年前にトンネル管理会社に就職し、トンネル内の安全設備を点検する仕事をしている。5年前に会社を辞めてペンション事業を営もうとしたが、基本資金が足りず、職場生活に復帰したのだ。Kさんは「昼は職場で仕事し、退勤後は夢のペンション事業を実現するため、ブログなどを調べながら、企業準備をする『昼耕夜読』の生活をしている」と話した。

 9月時点で60歳以上の就業者数が50代を抜き、全年齢層でトップとなるほど高齢就業者が増加する理由の一つは、高学歴者が増えたことにある。IT中堅企業の代表は「10~20年前までは会社で還暦を過ぎても仕事をする人は清掃員や警備業務がほとんどだったが、最近は大卒はもちろん、大学院卒の技術職が大半だ」と話した。

 今の60代は10~20年前の世代に比べて学力水準が高く、IT機器を容易に扱うことができる。彼らはパソコン通信が本格化した1990年代、インターネットの使用が普遍化した2000年代に30、40代で職場生活を送った。このため、電算業務が基本となった最近の職場文化で、後輩世代に後れを取らずに働く競争力があるのだ。

 高齢者の就職を奨励する政策も功を奏している。雇用労働部が2020年から60歳以上の勤労者1人当たり最高で3年間に1080万ウォン(約119万円)の奨励金を支給する「高齢者継続雇用奨励金」事業をはじめとして、高学歴シニアを採用する企業が増えている。今年上半期(1~6月)に同奨励金を受け取った企業は1867社あった。

 保健社会研究院と韓国ギャラップの調査によると、昨年時点で65歳以上の高齢層のうち、高卒以上の学歴を持つ人は38.2%で、調査開始当時(2008年)の17.2%に比べ2.2倍になった。65歳以上のスマートフォン保有率は76.7%で、3年前に比べ20.2ポイント、コンピューター(タブレット端末を含む)保有率は20.6%で7.7ポイント上昇した。ソウルの名門4年制大学を卒業したJさん(73)は「コーヒーショップのオーダー端末の前に立っていて、若い従業員が助けてくれようとするのだが、『大丈夫だ』と答えることが多い」と話した。

権純完(クォン・スンワン)記者

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