▲中国・北京のある建物前で翻る中国の国旗「五星紅旗」。/朝鮮日報DB

 中国で、韓国人がスパイ容疑で逮捕・拘禁されたことが確認された。昨年7月に改正反スパイ法が施行されて以降、韓国国民が拘束されたケースは今回が初めて。

 28日に駐中韓国大使館などが明らかにしたところによると、中国・安徽省合肥市に居住していた50代のAさんは、中国で半導体関連の会社に勤めつつ妻および二人の娘と生活していた。昨年12月18日に合肥市国家安全局所属の捜査官らがスパイ容疑に言及しつつAさんを自宅から連行し、Aさんはおよそ5カ月にわたり現地のホテルに隔離されて取り調べを受けた。今年5月26日から拘束が始まり、合肥の拘置施設に監禁された状態だ。Aさんの家族は、Aさんが拘置施設で持病の糖尿病の薬も処方してもらえていないと主張しているという。駐中韓国大使館の関係者は「事件を知った今年1月から領事援助に最善を尽くしている」と明かした。

 サムスン電子の半導体部門出身のAさんは、2016年から中国最大のメモリー企業である長鑫(ちょうきん)存儲(そんちょ)技術=CXMT=をはじめ3-4社の中国半導体大手で勤めてきたが、最近は個人事業を進めていたという。合肥市国家安全局は、AさんがCXMT勤務当時に半導体関連の情報を韓国に漏らしたと疑っていると伝えられている。だがAさん側は、中国において半導体の核心技術への接近権限はなかったと主張している。

 改正反スパイ法はスパイ行為の定義を、「国家機密・情報を横取りする行為」から「国の安全保障・利益と関連する資料の提供」などへとあいまいなものに変えた。Aさんが裁判で実刑を言い渡された場合、韓国人が初めて反スパイ法で処罰された事例になることもあり得る。外交消息筋は「2014年の中国の反スパイ法制定後、韓国人がこの法律に基づいて処罰された例はない」とした。裁判に数年かかって懲役10年以上が言い渡されるケースもまれではないため、韓国政府が積極的に交渉に乗り出すべきだという主張もある。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

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