▲グラフィック=李撤元(イ・チョルウォン)

 K9自走砲を含む韓国陸軍の自走砲戦力の3割は操縦手がおらず、有事の際に運用面で問題に直面しかねないという指摘がなされている。

 保守系与党「国民の力」に所属する庾竜源(ユ・ヨンウォン)議員のオフィスが10月10日に韓国陸軍から受け取った資料によると、韓国陸軍の自走砲の操縦手補職率は2022年までは80%台だったが、23年には72.2%に急減し、24年(6月30日現在)も72.9%だった。自走砲は、他の車両がけん引しなくても「自ら走って」射撃ができる大砲だ。だが「人口の崖」や初級幹部の軍離脱によって、自走砲を運転する下士官・将校が足りないのだ。韓国陸軍の自走砲補職率は戦車(92.7%)、装甲車(93.2%)の補職率と比較しても一段と低い。

 韓国陸軍で操縦手が必要な自走砲はK9、K55の2種類だが、主力はおよそ1100両が編成されているK9だ。「名品自走砲」と呼ばれるK9は、オーストラリア・ポーランドなど9カ国に輸出されたK防衛産業の代表的な商品。K9自走砲は最大射程が40キロ、1分当たり9発を発射できる火力、時速60キロで動ける機動性を備えている。北朝鮮の長射程砲挑発の際には、直ちに対応射撃に出なければならない兵器だ。だが現在のような操縦手補職率では、陸軍に編成されたK9自走砲1100台のうち、およそ300台は運用が難しくなりかねない。自走砲の操縦手は陸軍砲兵学校で2週間の教育を受けてから投入されるとあって、有事の際にすぐさま確保するのも困難だ。機甲部隊出身のある予備役将官は「操縦手が足りなくて、訓練時に隣接部隊から人手を借りなければならないこともあるほど」とし「装備はあるが、機動を担当する人員がいない」と語った。

 韓国陸軍は「K9とK55自走砲の目標稼働率は過去3年間で全て110%以上を達成し、任務遂行に支障はない」と説明した。だが目標稼働率は変動的なだけに、実際の全体の装備稼働率とは異なる、という指摘がある。庾竜源議員は「初級幹部の志願率低下、少子化に伴う入隊対象者の減少により、韓国軍の機械化装備の実際の稼働率が落ちている」と語った。

 韓国軍は、長期的には兵力減少に対応して現在は6人(砲班長・操縦手・射手・副射手・1番砲手・2番砲手)で構成されているK9自走砲の運用要員を3人にまで減らして対応するという方針だ。来年の開発完了を目標にしている新型K9は、射撃プロセスの自動化を通して射撃関連の人員を減らすことができ、その分操縦手などに人を回せるという話だ。今後は有人・無人複合システムを導入し、人工知能(AI)による「自律走行」も計画している。だが全て、実戦配備までには相当の時間と費用を必要とする見込みだ。

 兵力資源の減少問題を劇的に解決するのは難しい現在の状況においては、「兵力運用の妙」を発揮しなければならないという指摘もある。現在、韓国陸軍は兵力資源が減少しているが、GOP(一般前哨)など警戒作戦に投入される兵力補職率は100%以上を維持している。韓国軍関係者は「ネズミ1匹逃さない、という現行の警戒作戦は効率が悪い」とし「線を守る現行の概念から、科学化警戒などで遠距離監視および遠距離打撃を行って、非武装地帯(DMZ)での状況発生時には機動打撃を行うという形態に変え、遊休人員を武器システムの運用に使うべき」と語った。

ヤン・ジホ記者

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