▲尹錫悦大統領が21日、ソウル市竜山の大統領室庁舎前の野外庭園「パイングラス」で韓東勲・国民の力代表と会談している。(大統領室提供)2024.10.21/ニュース1

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表が21日、竜山大統領室で80分間会談し、金建希(キム・ゴンヒ)夫人の問題や議会・政府対立問題について意見を交わした。韓代表は1カ月前、大統領に単独会談を求めたが、今回の会談は鄭鎮碩(チョン・ジンソク)秘書室長が陪席する形式で進められた。しかし会談の直後、大統領室と国民の力はいずれも争点事案についてどのような結論を出したのか明らかにしなかった。

 韓代表は「悪化する民心と世論の状況、これに伴う大胆な変化と刷新が必要」と語ったと、朴正河(パク・チョンハ)党代表秘書室長が伝えた。韓代表は金夫人の問題に関して大統領室の人的刷新、対外活動の中止、そして疑惑の究明のための手続きへの協力という3大案と共に特別検察官任命の必要性を語ったという。与野党の議会・政府協議体の件を除くと、韓代表の要請事項はほとんどが金夫人に関するものだった。韓代表は「政府の改革推進動力のためにも、負担となる諸課題を先んじて解消する必要性がある」と語った。尹大統領がどのような回答をしたか尋ねると、韓代表側は「大統領室に確認してみるべき」と述べた。一方、大統領室は書面ブリーフィングを特に行うことはなかった。大統領室関係者は「政府の成功のため与党・政府が一つになることとした」という原則論的な立場を明かしただけだ。

 韓国検察は最近、金夫人のブランドバッグ授受疑惑やドイツ・モータース株価操作疑惑について、いずれも「嫌疑なし」決定を下した。そして尹大統領夫妻と親しいとされる明太均(ミョン・テギュン)氏やその周辺の人物が、金夫人のカカオトークの内容や総選挙の公認介入疑惑まで明かし、世論は悪化した。1カ月前に大統領と韓代表が会談して先んじて措置を取ることができず、遅くなったことで論争がいっそう大きくなった面もある。韓代表もまた会談前から金夫人の対外活動中止など3大要求事項を公然と掲げ、自分の政治を優先しているという批判を受けた。大統領と与党代表、そして通常の政府・与党関係ではなかなかあり得ない光景だ。

 平常時であれば、大統領と与党代表の会談が特別な成果なく終わったとしても、会うこと自体に意義を付与できる。しかし今は、進歩(革新)系最大野党の民主党が露骨に大統領弾劾を論じており、来月の李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙法違反事件や偽証教唆事件の一審判決を前に「場外闘争」まで予告した。金夫人の問題を放置した場合、与野党が正面衝突して国論の分裂も深刻になるだろう。80分間の会談の結果について大統領室と国民の力、どちらも具体的に明かさない様子は、現在与党側が直面している非正常な状況を示している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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