▲今月9日(現地時間)、シンガポールのシャングリラ・ホテルで行われたシンガポール在住韓国人との昼食懇談会に出席した金建希(キム・ゴンヒ)夫人。写真=NEWSIS

 韓国の検察は17日、「ドイツ・モータース株価操作疑惑」と関連して尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人を起訴しないことを決めた。検察は、金建希夫人名義の三つの口座が株価操作に利用されたのは事実だが、同夫人が株価操作勢力と共謀したとは言い難い、という結論を下したのだ。口座を一任された人物たちも、検察で「金建希夫人に株価操作の話をしていない」と供述したという。

 この事件の発端は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が2020年4月、当時検察総長だった尹錫悦・現大統領をターゲットにして始めた捜査だった。当時も1年半以上かけて捜査が行われたが、金建希夫人が関与したかどうかを立証できなかった。結婚前のことなので、「権力型不正」ではないのにもかかわらず、検察は文政権が去って政権が交代した後も結論を出さなかった。そして、金建希夫人に対する「非公開」出張捜査で疑惑ばかりを膨らませた。金建希夫人の対面調査を主張していたソウル中央地検長も交代になった。

 株価操作に関与した人物が逃亡中だった2021年10月、共犯者に「捕まった人々は逮捕・起訴されるだろうに、金建希夫人だけは免れて、われわれだけが捕まる状況になるかもしれない」という手紙を送っていたことも、このほど明らかになった。このような状況なのにもかかわらず、検察は外部の専門家から成る捜査審議委員会の判断を求めるのではなく、「内部討論」だけで嫌疑なしとの結論を下した。法理問題とは別に、検察のこの結論に納得する国民は多くないだろう。

 検察が「有名ブランドバッグ受け取り疑惑」に続いて株価操作関与疑惑についても、金建希夫人に疑惑はないという結論を下すや、韓国最大野党・共に民主党は「検察に捜査の意志がないことが確認された」として、金建希夫人に対する3回目の特別検事法(特検法)を発議した。もともと株価操作疑惑や有名ブランドバッグ疑惑が中心だった特検には、最近浮上した国会議員総選挙介入疑惑をはじめ、計13件の容疑が挙がっている。

 全ての問題は、尹大統領夫妻が自ら招いたものだ。金建希夫人が大統領選挙時に国民の前で約束した通り、内助だけに忠実だったならば、そもそも何も起こらなかっただろう。尹大統領は金建希夫人が起こす問題を無条件にかばって擁護したが、このために民心は離れていった。これが総選挙惨敗につながり、もはや国政動力そのものを失っている状況だ。

 検察の相次ぐ「嫌疑なし」という結論は、疑惑の終結ではなく、野党の特検法攻勢の始発点となった。問題が検察の場を離れて政治の場に移ったのだ。既に4人の与党・国民の力所属議員が大統領拒否権から離脱しており、この数字は今後さらに増える可能性がある。来週予定されている尹大統領と韓東勲(ハン・ドンフン)同党代表の会合でも、金建希夫人問題が主な争点になるだろう。

 今、国民の力は金建希夫人の対外活動の中止と大統領室の金建希夫人ラインの整理を公に要求している。この二つの要求は、金建希夫人が大統領選挙時、国民に対して約束したのと同じ内容だ。まずはその約束を守るべきだ。金建希夫人問題の行方は今後、国民が決めるだろう。

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