▲ソウル特別市教育監(教育庁のトップ)補欠選挙が行われた16日、ソウル市内の小学校講堂に設置された投票所で朝から投票を行う市民。/チョン・ギビョン記者

 16日に投開票が行われたソウル市教育監(教育庁のトップ)補欠選挙の最終投票率はわずか23.5%だった。同じ日に行われた釜山・金井区庁長選挙、仁川・江華郡守(郡の首長)選挙、全羅南道・霊光郡守と谷城郡守選挙の四つの基礎団体長選挙における投票率(53.9%)のわずか半分にも満たない低さだ。

 チョ・ヒヨン前教育監の解任により行われた今回の選挙の投票率は、過去の教育監選挙に比べても突出して低かった。統一地方選挙と同時に行われた2014年の教育監選挙は投票率が58.6%、18年は59.9%、22年は53.2%で、また今回と同じく教育監選挙が単独で行われた昨年4月の蔚山市教育監補欠選挙(26.5%)よりもさらに低かった。

 ソウル市教育監は幼稚園から小学校、中学校、高校に至るまで約84万人の児童生徒を管轄し、公立学校教師や教育公務員5万人の人事権も行使する。ソウル市教育庁の年間予算は11兆ウォン(約1兆2000億円)を上回る。

 このように教育監は強大な権限を持つにもかかわらず、選挙での投票率が低い理由は、教育監選挙は子供を持つ親たちでなければ有権者の関心が低い上に、投票が平日に行われたことも影響しているようだ。大手メディアが世論調査を行うこともなく、また中央選挙管理委員会主催の討論会もない。誰が立候補しているのかさえ有権者はよく分からないし、候補者の公約内容も把握できない状態で投票を行うケースも多いことから「何も分からない選挙」とも呼ばれている。光州教育大学教育学科のパク・ナムギ教授は「投票率が20%台と非常に低いと組織を動員できる候補者が有利になるため、国民の代表としての性格は希薄になる」と指摘する。

 教育監は解放(1945年)後、大統領が任命する形から1991年に官選方式へ、さらに教育委員会、学校運営委員会、教員団体などが選出する形になった。その後は2006年の法改正を経て07年2月の釜山教育監選挙から直接選挙制が採用されている。

 教育監選挙は政党の公認が受けられず、投票用紙にも政党の表示がない。しかし選挙のたびに候補者は保守を象徴する赤、あるいはリベラルを象徴する青のユニホームを着用して政治色を前面に出す。しかし候補者は政党からの支援なしに大規模な選挙を行うため、後から後遺症が出ることも多い。孔貞沢(コン・ジョンテク)、郭魯鍱(クァク・ノヒョン)、文竜麟(ムン・ヨンリン)、チョ・ヒヨンら直接選挙で選ばれたソウル市教育監4人はいずれも選挙法違反などで後に処罰を受けている。

 このように住民の関心が低い選挙だが、選挙管理費用として今回も565億ウォン(約62億円)の税金が投入された。そのため直接選挙を廃止し、教育監を特別市長・広域市長・道知事のランニングメート(伴走者)とするか、あるいは市長や知事による任命にするなど、選出方式の変更を求める声も根強い。

キム・ギョンウン記者

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