▲北朝鮮が15日に東海線と京義線の南北連結道路を爆破した。写真は同日、合参が公開した南北連結道路爆破の様子。/合同参謀本部

 北朝鮮軍は京義線・東海線の道路を爆破した場所で対戦車防壁など「障壁化」作業をするだろう、と韓国軍では判断している。これに関連して、北朝鮮は今年だけで720億ウォン(現在のレートで約79億円。以下同じ)相当の軍事費を投入し、今後の軍事境界線(MDL)全体の障壁化作業のためには最大で1兆9000億ウォン(約2100億円)かかるという韓国国防部(省に相当)の分析も出た。

 15日の本紙の取材を総合すると、国防部は、北朝鮮が今年、MDL付近の土木工事およびコンクリート防護壁・フェンス設置などの工事費用として570億ウォン(約62億円)相当、工事人件費として150億ウォン(約16億円)相当を費やすと推算した。国防部の関係者は「248キロに達する軍事境界線に沿って非武装地帯全域で防壁・フェンスの複合障害物構築に乗り出した場合、物価上昇率を反映して、今後20年間で工事費およそ1兆9000億ウォンが必要になる見込み」と語った。

 北朝鮮は昨年末に金正恩(キム・ジョンウン)総書記が行った「敵対的2国家関係」発言以降、MDLの北側の非武装地帯(DMZ)一帯でコンクリート防壁・フェンスの設置、地雷埋設作業などを続けている。韓国軍の金明秀(キム・ミョンス)合同参謀本部(合参)議長は今月10日、合参の国政監査において「北朝鮮がDMZ10カ所で対戦車防壁の作業を行っている」と語った。長いものでは数百メートルに達するという。北朝鮮の「障壁」設置作業は、外部流入遮断および内部の人間の流出・脱出を遮断するための措置だと韓国軍ではみている。

 だが、DMZ障害物建設と対南汚物風船挑発が、従来の弾道ミサイル挑発に比べて「コスパ」に優れると北朝鮮が判断しているとの解釈もある。北朝鮮は今年5月から最近まで、汚物風船を28回にわたり計6300個ほど飛ばした。合参は、風船の製造費について1個当たり10万ウォン(約1万1000円)水準とみている。計6億3000万ウォン(約6900万円)ほど投じたというわけだ。これは、北朝鮮の弾道ミサイル発射の費用に比べると各段に少額だ。米国ランド研究所によると、北朝鮮の弾道ミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)級が1発当たり250億-375億ウォン(約27億-41億円)相当、短距離弾道ミサイル(SRBM)級は1発当たり38億-63億ウォン(約4億2000万-6億9000万円)相当の水準と推定される。韓国軍関係者は「北朝鮮は2023年中に弾道ミサイルの発射におよそ3000億ウォン(約330億円)から4640億ウォン(510億円)ほどを使ったと計算されるが、これに比べれば防壁の作業や汚物風船飛ばしは、北の立場からするとコスパが良いとみることができる」と語った。

ヤン・ジホ記者

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