▲2018年1月9日、京畿道坡州市の板門店「平和の家」で行われた南北高官級会談で、共同報道文を発表するために会場入りした韓国統一部(省に相当)の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官=写真右=と北朝鮮祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長=同左、いずれも当時=。写真=共同取材団

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の元娘婿の「タイ・イースター・ジェット航空特別採用疑惑」を捜査中の検察が今月初め、趙明均(チョ・ミョンギュン)元統一部(省に相当)長官に対し、家宅捜索していたことが14日に明らかになった。文政権時の統一部は韓国芸術団の訪朝チャーター機に韓国の格安航空会社(LCC)イースター航空を選定していた。当時、大手航空会社ではなくイースター航空を選定したことについて「特恵(特別優遇)措置ではないか」との疑惑が取り沙汰された。検察は今回の家宅捜索で確保した資料により、訪朝チャーター機の選定過程にどのような特恵措置があったのかなどを調べているという。

 本紙の取材を総合すると、全州地検刑事第3部(裁判長:韓演奎〈ハン・ヨンギュ〉部長判事)は今月初め、趙明均元長官の自宅などを家宅捜索したことが分かった。検察は統一部にも2度、検事と捜査官を送り、訪朝チャーター機に関する資料を確保したという。

 検察は、文前大統領と、イースター航空の創業者で共に民主党所属の国会議員だった李相稷(イ・サンジク)氏との関係に捜査を集中させている。李相稷氏は2018年3月に韓国中小ベンチャー企業振興公団(中振公)の理事長に任命され、2020年の第21代国会議員総選挙で共に民主党の公認を受け全州乙選挙区で当選した。検察は、文政権が李相稷氏個人のポストだけでなく、李相稷氏が所有しているイースター航空に対してもさまざまな恩恵を与えたとみている。こうした見返りに、航空関係の仕事の経験が全くない文前大統領の元娘婿が、李相稷氏が実質的オーナーであるタイの航空会社タイ・イースター・ジェット航空の専務として採用されたものと疑っている。

 検察が文政権時の統一部に関して強制捜査に着手したのは、イースター航空が訪朝チャーター機に選定される過程で特恵措置がなかったかを確認するためだという。イースター航空は2018年3月29日と31日、平壌に向かう「南北平和協力祈願韓国側芸術団」を特別チャーター機で運んだ。そして、公演団が帰国する際も特別チャーター機を運航した。チャーター機の選定は当時、統一部が担当していた。

 統一部がチャーター機選定を協議していたころ、李相稷氏の中振公理事長ポストについての検証も同時に行われていたものと検察ではみている。李相稷氏は2018年3月5日に中振公の理事長に任命された。検察は2018年初めから李相稷氏の名前が理事長候補として挙がった際、文政権時の青瓦台(大統領府)が人事検証実務陣から「不適格」との報告を受けていながらも、理事長任命を押し通した手がかりをつかんだとのことだ。

 李相稷氏はその直後の2018年7月、文前大統領の娘ダヘ氏一家のタイ移住と就職を支援した。元娘婿は航空関係の仕事の経験が全くなかったが、月給800万ウォン(現在のレートで約90万円)と家賃350万ウォンの支援を受け、飛行機も無料で利用した。ダヘ氏一家の家は当時の中振公職員たちが手配したという。ダヘ氏の子どもは1年に数千万ウォンかかるインターナショナル・スクールに通い、ダヘ氏はタイで青瓦台職員らと数千万ウォン台の金銭のやり取りをした。

 一方、検察は2019年にイースター航空が観光需要の高い中国・シンガポールなど複数のドル箱路線運航権を韓国国土交通部から割り当てられた経緯についても捜査中だ。検察は2020年、経営難で資本食い込み状態に陥っていたイースター航空がチェジュ航空への売却を推進する際、国土交通部がどのような特恵措置を与えたのかも確認中だ。

イ・スルビ記者、パン・グクリョル記者

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