▲イラスト=UTOIMAGE

 大型ハリケーン「ミルトン」の直撃を受けたフロリダで住民が避難する中、インターネット放送の配信者がハリケーンの様子を生配信し、物議を醸している。英国BBCが12日(現地時間)、報じた。

 報道によると、インターネット放送の配信をしているマイク・スモールズ・ジュニア氏は、ハリケーン「ミルトン」が上陸した今月9日、エアマットレスや傘、カップ麺などを袋に詰めてフロリダ・タンパのとある場所に出向き、配信サービス「Kick」でライブ配信を始めた。当時、この地域はハリケーンによる避難命令が出ていたが、スモールズ氏は1時間にわたってライブ配信を実施した。動画はKickで6万回以上再生されたほか、X(旧ツイッター)などでも拡散されて数百万人が視聴した。スモールズ氏は「ハリケーンの中で生きていられたら7万ドル(約1000万円)あげる」とネットユーザーに提案されてライブ配信を実施したという。

 スモールズ氏は配信で、視聴者数が1万人を超えたらマットレスを持って水中に入ると公約し、視聴者数1万人を達成したところで実際に水の中に飛び込んだ。しかしスモールズ氏は「心配になった。風が吹き始めたし私は泳げないので木にしがみつかないといけなかった」と話した。その後「金額に納得できれば危険なことをもう一度やってもいい」「私がやったことは論争の余地があるが、コンテンツ制作者の観点から見れば、多少過激なことをやった方が視聴者に好まれる」と話した。

 スモールズ氏が危険な行為を配信したのは今回が初めてではない。先月27日にハリケーン「ヘレン」が上陸した際も、テントを持参して5時間以上ライブ配信を実施した。地下道にテントを張り「ハリケーンには耐えてみせる。何故かって? 人々を楽しませたいからだよ」と話していた。

 BBCは「ライブ配信は、手早く収益を上げたいコンテンツ制作者の間では収益性の高い分野になっており、競争が激しいため、注目を集めるためにスモールズ氏のように危険な行為を強行するケースもある」と指摘した。ネットでもスモールズ氏の行為について「アクセス数稼ぎのために命を懸けている」と批判の声が上がった。

 スモールズ氏は今回のライブ配信でいくら稼いだのか、具体的な金額は明かしていない。ただしBBCによると、1時間当たり300-400ドル稼ぐ配信者もいるという。Kick側は「クリエイター中心のプラットフォームであるため、クリエイターの放送テーマ選びには介入しない」としながらも「該当のコンテンツがサービス約款に違反している場合や違法行為をしていた場合には、放送禁止あるいは停止措置を取る可能性もある」と説明した。

 タンパ警察庁は声明で「当局の避難命令を無視した場合、大切な命が危険にさらされる可能性がある」として「各個人がこのような警告を無視すれば、自分の安全が脅かされるだけでなく救助のための重要な資源が使われることになり、他の人の大切な救助作業が遅れかねない」と指摘した。ミルトンが上陸した9日には数百万人が避難し、少なくとも17人が死亡した。

イ・ヘジン記者

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