▲ソウル市庁前の逆走事故現場に置かれた花束。/ニュース1

 過去5年間で、ドライバーが急発進を主張した交通事故のうち7割超が、60代以上のドライバーによって引き起こされていることが分かった。ただしドライバーが「急発進した」と主張した事故のうち、実際に急発進が原因だったと判明した事故は1件もなかった。

 国会行政安全委員会のメンバーで韓国与党「国民の力」所属の趙承煥(チョ・スンファン)議員が国立科学捜査研究院から入手した資料を分析した結果、2020年から今年6月までの5年間に同院が鑑定した「ドライバーが急発進を主張した事故」は計334件だった。

 このうち、事故車が大破して鑑定が不可能だったケースや、ドライバーによるペダルの踏み間違いを立証できるような事故情報記録装置(EDR)のデータが提示されなかった「検証不可」の事故46件、裁判所などによる既存の鑑定結果の問い合わせ11件などを除外した277件は全て、ブレーキとアクセルの踏み間違いが原因だったことが分かった。

 また、誤ってアクセルを踏んだにもかかわらず、ドライバーが「急発進した」と主張した277件のうち、202件(72.9%)はドライバーが60代以上だったことが分かった。次いで50代が56件(20.2%)だった。50代以上に範囲を広げると93.1%で、大部分の事故が50代以上の中高年によって引き起こされているといえる。一方、同じ期間に同様の事故を起こしたのは20代が3人、30代は1人、40代は15人だった。

 ドライバーが急発進を主張した事故のうち60代以上が運転していた割合は▲2020年54.83%(17件)▲21年63.41%(26件)▲22年63.33%(38件)▲23年88.37%(76件)▲24年6月までが76.27%(45件)-と全体的に増加傾向にある。

 今年7月に9人が死亡、5人が負傷したソウル市庁前の逆走事故では、容疑者のドライバーは68歳だった。ドライバーは急発進を主張したが、捜査を行った警察は「運転が未熟だった」ことが原因だったと明らかにした。先月にソウル市内の城東税務署前で起きた事故や釜山での事故も70代のドライバーが起こしたもので、いずれも死傷者が出た。ドライバーらは急発進を主張したが、警察はこれらの事故もブレーキとアクセルの踏み間違いによるものと結論付けた。

 趙承煥議員は「ドライバーが急発進を主張した事故の6割超が60代以上のドライバーによるものという統計が示す通り、高齢ドライバーに対する安全教育および対策が急がれる」とした上で「安全装置の装着など関連対策を総合的に検討し、高齢ドライバーの移動権を保障しながらも、交通安全を確保する最適な方策を講じなければならないだろう」と指摘した。

ユ・ビョンフン記者

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