▲グラフィック=ヤン・ジンギョン

 韓国国債が世界の金融市場で機関投資家の「ショッピングリスト」に公式に含まれた。2兆5000億ドルの資金を動かす世界最大の債券指数である「世界国債インデックス(WGBI)」に韓国が組み入れられることが決まったのだ。

 世界的な指数算出会社であるFTSEラッセルは9日、2025年11月から韓国をWGBIに組み入れる予定であることを明らかにした。2022年9月に組み入れ直前の段階である「ウォッチリスト」に指定されてから2年目での決定だ。韓国のWGBIへの組み入れ比率は2%台になると推定される。それによって流入すると予想される海外資金は約75兆ウォン(約8兆3000億円)。韓国政府は、韓国国債に対する海外の関心が高まったことによる効果まで考慮すると、最大90兆ウォンに達する外国資金が韓国の国債市場に流入すると期待している。

 これまでWGBIに組み入れられた国は25カ国で、米国、英国、日本などの金融先進国のほか、中国、メキシコ、南アフリカなど各地域を代表する国が含まれる。このため、WGBIに含まれれば、世界を代表する金融市場と評価されたことを意味する。

 今後WGBIを基準に資金を配分する海外の資金が大規模に韓国債券市場に流入すれば、ウォン資金が需要が増え、対ドルでウォン高が進むと予想される。大統領室関係者は「韓国国債が名実共に先進国水準と認められたものだ」とし、「韓国企業の資金調達コストを低下させ、外国為替市場を安定させる効果も期待される」と話した。

 WGBIは世界最大の債券指数だ。ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合指数(BBGA)、JPモルガン・国債インデックス–エマージング・マーケッツ(GBI-EM)と並ぶ世界3大債券指数と呼ばれるが、その中で最も権威がある。WGBIに組み入れられただけでも巨額の海外資金の流入が期待される理由だ。崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官は「今回の組み入れは韓国国債市場が名実共に適正評価を受けたことを意味する。世界10位圏である韓国経済の体格に合わせて債券市場に対する評価が見直された」と述べた。

 WGBIへの韓国国債の組み入れ比率は2.22%になると推定される。米国、日本、中国、フランス、イタリア、ドイツ、英国、スペインに次ぐ9番目の規模だ。

■外為市場の取引延長、外国人規制緩和が奏功

 今回のWGBI組み入れ決定は「サプライズ」として受け止められている。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど世界的な投資銀行が今回、韓国の指数組み入れは困難と予想していたためだ。韓国は2022年9月の報告書で組み入れ候補である「ウォッチリスト」に含まれて以後、ずっと組み入れを目指してきたが、今年3月まで3回にわたり実現しなかった。国債発行規模(500億ドル以上)や信用格付け(S&P基準Aマイナス以上)という基準は満たしたが、外国人に対する規制が多い点が障害となった。

 しかし、これまで韓国政府はWGBI組み入れのために外国人投資規制を緩和するためのさまざまな努力を傾けてきた。昨年1月に外国人の国債投資を非課税化し、同年12月には外国人投資家登録制を廃止した。今年6月には外国人が別途韓国国内に口座を開設しなくても韓国国債を購入できるように国際証券決済機構(ICSD)であるユーロクリア、クリアストリームに国債統合口座を開設した。7月には外国為替市場の取引時間を午後3時半までから午前2時までに延長した。そのため、「サプライズ」ではなく、当然の結果だとの見方もある。

■外国人資金の韓国流入効果…「金利低下し為替も安定」

 外国人は2600兆ウォン近い規模の韓国上場債券市場の10%に相当する約259兆ウォンを保有している。8月現在で外国人の韓国国債保有額は238兆ウォンだ。外国人は韓国債券の大半を国債で保有していることを意味する。WGBI組み入れで最大90兆ウォンの海外資金が国債市場に流入すれば、外国人の韓国国債保有額が38%も増えることになる。2021年10月、WGBIに組み入れられた中国直後の3カ月間に約2000億元(約4兆2000億円)の新規海外資金が国債市場に流入した。

 梨花女子大経済学科の石秉勲(ソク・ピョンフン)教授は「米国の投資家が別の投資先を探すために世界のさまざまな国の金融市場にシフトしているタイミングに組み入れ決定が重なり、韓国債券市場の魅力が増した」と話した。

 海外資金が大規模に流入し国債需要が増えれば、市中金利が低下し、企業の社債から住宅担保ローンまで金利が下がる可能性がある。昨年12月の金融研究院による研究では、WGBI組み入れで500億~600億ドルの外国人資金が流入すると、国債金利が0.2~0.6%低下する効果を生むと予想される。韓国銀行が政策金利を0.25%ずつ1~2回引き下げるのと同等の効果がある。韓国政府は年間最大1兆1000億ウォンの利払い費用を節減できると期待している。

 国債金利を基準に上乗せ金利を付ける社債や銀行債の金利が同時に低下する効果もある。企画財政部関係者は「韓国政府と企業の資金調達負担が減り、投資と分配が活性化され、実体経済も回復する効果が期待できる」と述べた。また、国債需要が増えればウォンの価値も高まり、ドルに対しウォン高になるとみられる。金融研究院によると、WGBI組み入れ後の1年間に600億ドルが流入すれば、ウォンは約4.8%上昇するとみられる。

 ただ韓国政府が「バリューアップ(企業価値改善)」に努めている株式市場では、今回の指数組み入れによる影響は間接的なものにとどまりそうだ。韓国開発研究院(KDI)のキム・ミル研究委員は「債券金利が低下し、利回りが下がれば、リスクを好む一部の投資家が株式市場にシフトすることはあり得る」と指摘した。

カン・ウリャン記者

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