▲防壁を建設する北朝鮮軍。/韓国軍合同参謀本部

 北朝鮮は9日、韓国とつながっている道路・鉄道を遮断し、国境の要塞化作業を始めると明らかにした。

 北朝鮮は同日、国営メディアで「第1の敵対国、不変の主敵である大韓民国と接する南側の国境を永久に遮断・封鎖することは、戦争の抑制と共和国(北朝鮮)の安全を守るための自衛的措置」だとした上で「大韓民国とつながる道路と鉄道を完全に遮断し、堅固な防御構造物で要塞化する工事が進められることになる」と明らかにした。北朝鮮は「『南側国境』の要塞化工事に関連し、わが軍隊は誤解と偶発的衝突を防止する意図で、9日午前9時45分に米軍側に電話通知文を発送した」と説明した。

 北朝鮮はその上で「米国の核戦略資産が頻繁に出没し、『政権の終末』を叫ぶ好戦狂たちの悪意ある声が日常となってしまった現実は、決して見過ごせない事態の深刻さを証明している」として「一触即発の戦争危機が日増しに高まっている厳重な事態に対処し、朝鮮人民軍総参謀部は、わが共和国の主権行使領域と大韓民国の領土を徹底的に分離するための実質的な軍事的措置を取ることを宣言する」と主張した。韓国が実施した「国軍の日」の行事や米国による戦略爆撃機B-1Bの展開などを口実にしたわけだ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「敵対的2国関係」と定義して南北断絶の措置を予告してきた。金正恩総書記は今年1月に行われた最高人民会議の施政演説で「共和国の民族史から『統一』『和解』『同族』といった概念自体を完全に除去しなければならない」として「接境地域で北南をつなげているあらゆる要素を徹底的に分離する段階別の措置を厳格に実施しなければならない」と述べた。北朝鮮が軍事境界線の鉄柵に加えて要塞化を主張し始めたのは、こうした「反統一」の指針について、宣言するにとどまらず物理的に公式化するという意志の表れとみられる。ドイツでベルリンの壁が崩壊してから35年がたった今、南北を分断する248キロの軍事境界線が要塞化すれば、中・ロと米国の対立に端を発した「新冷戦」の到来を象徴する「第2のベルリンの壁」になる見通しだ。

 北朝鮮は7-8月に開催された最高人民会議に関連し、憲法から「平和統一」を削除したのか、また「領土条項」を新設したのかなどについて、明らかにしていない。しかしこの日、断絶や要塞化を宣言したことから、関連の憲法改正が実施された可能性が高いと考えられる。梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授(北朝鮮学科)は本紙の電話取材に対し「第1の敵対国だという韓国を『パッシング(無視)』し、米軍に通知したと主張しているのは、一種の『韓米分断』を狙ってのことだ」だとした上で「金正恩総書記の指示に従って敵対政策を展開し、韓国との緊張を高めながら『自衛的措置』と主張している」と述べた。

 韓国軍の関係者は「北朝鮮からわが国への通知はないと聞いている」として「現在までに北朝鮮軍の作業内容で確認されたものはない」と述べた。北朝鮮軍は今年に入り、京義線と東海線の線路を撤去し、軍事境界線一帯の防壁化作業と地雷埋設作業を進めているが、現時点でこの日の発表に関連するような作業が行われている様子は確認されていないということだ。

チョン・アイム記者、ヤン・ジホ記者

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