▲写真=UTOIMAGE

 【NEWSIS】市販のすしの包装容器や自宅で使うフライパンや鍋など調理器具の黒いプラスチックに、がんを誘発しホルモンをかく乱する化学物質(内分泌かく乱化学物質)が含まれているという研究結果が示された。5日付の米紙ワシントン・ポスト(WP)が警鐘を鳴らしている。

 WPによると、すし用のパックやビーズのネックレス、調理器具などに使われる黒いプラスチックからかなり高い数値の発がん性物質が検出されたという。旅行用のゲームやおもちゃなどからも多量の発がん性物質が検出された。

 米国の環境・健康研究団体「有害化学物質のない未来(Toxic-Free Future)」と、オランダのアムステルダム自由大学(VU)が発表した研究結果によると、実験対象となった黒い家庭用品20点のうち17の製品から難燃剤が検出された。

 黒いプラスチックには、がんを誘発しホルモンをかく乱する物質である難燃剤が含まれている。難燃剤は材料を燃えにくくし、炎の拡大を遅らせるために製品に添加される化学物質だ。

 電子製品に使われているプラスチックが家庭用製品の製造に再利用されているという懸念も示された。

 今回の研究の共同著者で「有害化学物質のない未来」の政策担当者を務めるメーガン・リウ氏は「私たちが口にする食べ物が難燃剤にさらされているだけでなく、難燃剤は添加されたポリマーとは結合しないため室内の空気に紛れ込む可能性がある」と指摘した。プラスチック製の調理器具を加熱すれば食べ物を通じて有害物質が体内に入り、子どもがおもちゃを口に入れれば唾を通して体内に入る恐れがあるというわけだ。

 米国の環境保護庁は、一部の難燃剤が甲状腺の問題、生殖器官の合併症、神経毒性およびがんに影響を及ぼす恐れがあるとしている。また、子どもの場合、持続性注意障害、運動能力の低下、認知発達の遅れを引き起こす可能性があるともみている。

 米国化学会の北米難燃剤連合は「メーカー側は消費者に深刻なリスクが及ばないよう厳しい研究とリスク評価を実施している」としながらも「該当の報告書は難燃剤の危険性を主張しているが、実際の潜在的な露出レベルや経路の危険性については説明しておらず、限界がある」と指摘した。

 ワシントン、ニューヨーク、カリフォルニアを含む米国の一部の州では、室内の電子製品への難燃剤の使用を制限する動きもあった。また、欧州連合(EU)は2006年から、さまざまな難燃剤の使用を禁止あるいは制限するための取り組みを続けてきた。

 メーガン・リウ氏は「難燃剤の使用を制限する連邦法(適用範囲が米国全体に及ぶ法)が必要だ」とした上で、消費者に対して難燃剤を避ける方法を紹介した。

①プラスチック製の調理器具を木製またはステンレス製に変える

②有害な物質に触れる機会を減らすためにプラスチックのない製品を選ぶ

③製品内の毒性化学物質に対する厳しい対策を取っている会社の製品を購入する

④空気中に紛れ込んだ難燃剤を除去するために、定期的な清掃、換気、ぞうきん掛けをする

チェ・ヒジョン記者

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