▲イラスト=UTOIMAGE

 ウクライナ軍が、溶かした特殊な金属「テルミット」を空から投下するいわゆる「ドラゴンドローン」を戦場に投入する中、初めてこのドローンでロシア軍の戦車を破壊する様子が公開された。キーウ・ポスト、ビジネスインサイダーなど海外メディアが6日(現地時間)、報じた。

 報道によると、ウクライナ東部ドネツク州のバフムート地域で作戦を遂行中のウクライナ軍第30機械化旅団は最近、SNS(交流サイト)で「ドラゴンドローンで敵軍の戦車を炎上させた」と主張し、関連動画を公開した。

 動画を見ると、移動中の戦車に突然、火花が降りかかる。その後、ドラゴンドローンとみられる飛行物体が炎と煙を噴きながら低空飛行する。動画の最後の方では戦車全体が炎に包まれて爆発する。

 ウクライナ軍は先月初めから戦場に「ドラゴンドローン」を投入し始めた。まるで口から火を噴く竜のように見えることからこの愛称が付いた。ドラゴンドローンがロシア軍の戦車に直接打撃を加えたのは今回が初めてだという。

 低空飛行するこのドローンは、アルミニウムと酸化鉄が混ざった特殊金属「テルミット」を溶かした物質を投下する。最高で2200度という高温で投下されるこの物質は、ロシア軍の兵力に直接打撃を加えられるほか、ロシア軍の潜伏場所となる木や森を素早く燃やすことができる。

 特にこのドローンは敵に恐怖を与える武器として活用できる。キーウ・ポストは「ドラゴンドローンが投下する火花に当たらない限りは命に関わるような負傷はしないが、乾燥した作物や木など可燃性の物体に火を付ける時に非常に効果を発揮する。敵の隠れ場所となるような物を焼き尽くすことで、敵軍を砲撃に対して無防備にすることができる」として「攻撃された軍人たちにとって、逃げる時間は3-10秒しかない」と指摘した。

 元英国軍将校で軍需産業専門家のニコラス・ドラモント氏はCNNに対し「この武器の効果は物理的な面よりも心理的な面が大きい」として「現在ウクライナはテルミットを効果的に使う能力が限られているため、これは新兵器というよりも特定の環境でだけ生かされる能力だ」と指摘した。

 1890年代にドイツの科学者が発明したテルミットは、本来は鉄道の線路を溶接するために作られた。金属を含め、ほぼ全ての物質を燃やすことができるため、このように武器として使った場合には防御する方法が事実上ないという。

 軍事的な戦闘でのテルミットの使用は国際法で禁止されてはいないが、人命に関わるため民間を標的として使用することは禁止されている。

キム・ジャア記者

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