韓国では凶器を振り回したり、卵やペットボトルを投げつけたりするなど、法廷での暴力事例がこの3年間で90件余りあったことが分かった。最近裁判中に被告人を殺害しようとした事件まで起きると、大法院法院行政処は今月2日、「法廷保安強化のための総合対策」を発表した。

 対策は▲法廷での保安強化▲検査強化▲保安要員の拡充と能力強化――を柱としており、刑事事件の法廷には遮断幕の設置を検討する方針だ。

 朴俊泰(パク・チュンテ)議員(国民の力)が大法院から提出を受けた資料によると、2021年から今年8月までに法廷で起きた暴行・傷害事件は19件であり、単に暴言を吐いたり騒いだりする騒乱事件を含めると90件を超えるという。このほか、法廷の内外で自傷行為に及んだり、命を絶とうとしたりする事例のほか、被告などが逃走したこともあった。

 8月28日にはソウル南部地裁で仮想資産詐欺事件で裁判を受けていた会社経営者が傍聴席にいた詐欺被害者に凶器で首を刺される事件が発生した。メディアでこの殺人未遂事件が報じられ、裁判所のセキュリティー問題が指摘された。一週間前の8月21日には、大田地裁でも法廷で被告が自身の国選弁護人を攻撃した。被告は隠し持っていた歯ブラシで弁論中の弁護人の首を襲撃し、長さ8センチの傷を負わせた。

 2022年7月、蔚山地裁の刑事裁判では、被告と金銭トラブルがあった傍聴者が判決直後、所持していたライターで被告人の額を襲った。同年11月、大邱地裁浦項支所では、傍聴席にいた詐欺事件の被害者が裁判終了直後、被告に向かって卵を投げた。卵が被告の体に当たって割れ、検事の事件記録が汚れた。

 判事・検事を狙った暴力事件も起きている。2021年7月、光州地裁の損害賠償訴訟で裁判長が判決を下すと、それに怒った利害関係者が暴言を吐きながら、判事に携帯電話を投げつけ肩にぶつかった。同年5月、仁川地裁では被告が検事に向かってふたが開いたペットボトルを投げつけた。

 裁判前後に救急患者が発生することも過去3年間で約130件あった。判決の言い渡しを受けるために出廷した被告が法廷の廊下で突然心停止状態となったほか、証人として出廷した被害者が裁判所のトイレで命を絶とうとしたこともあった。

 全国の裁判所は8月の凶器による襲撃事件以降、法廷に透明な仕切りを設置したほか、保安管理隊員にガス銃を携帯させるなど個別の措置を取っている。法院行政処は9月中旬までに各裁判所の保安強化対策と関連要員・予算・装備などに関する提案事項の報告を受け、総合対策を取りまとめた。朴議員は「法治主義に挑戦する暴力事故を防止し、穴が生じた法廷の保安システムを補完するための対策を早急に導入すべきだ」と話した。

パン・グクリョル記者

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