▲イラスト=UTOIMAGE

 イスラエルの都市テルアビブで1日(現地時間)に起きた銃撃テロでは少なくとも7人が死亡したが、死者の中には生後9カ月の男児を抱きかかえて守り、自分が犠牲になった女性がいたことが分かった。現地紙エルサレム・ポストが2日、報じた。

 報道によると、1日にテルアビブのヤッファ地区にある軽電鉄エルリッヒ駅で発生した銃撃テロで、犠牲になった7人のうち生後9カ月の息子を抱いたインバー・セゲフ・ヴィグダーさん(33)の身元が最初に判明した。

 インバーさんは電車に乗っていて銃弾を浴びた。突発的な状況にもかかわらず、インバーさんは抱っこ紐で胸に抱いていた息子を全身で守った。

 幸いインバーさんの息子にけがはなく、赤ん坊の泣き声を聞いた市民と警察によって救助されて病院に搬送された。

 インバーさんはテルアビブでピラティススタジオを運営していた。夫のヤーリさんは現在、イスラエル軍の予備役としてガザ地区での戦闘に参加している。

 ヤーリさんは銃撃テロのニュースを知った後、妻と連絡が取れなかったため現場を訪れた。しかし妻が見つからなかったため近隣の病院を回ったところ、イランによるミサイル攻撃から逃れるために避難していた医師と息子を発見した。

 ヤーリさんは「銃撃があった時、母親に抱かれていた息子には全くけががなかった」として「これからの人生で、息子が母親から受けた愛を感じられるよう願っている」と話した。

 ユダヤ人団体の世界ユダヤ人会議(WJC)はX(旧ツイッター)でインバーさんについて「子どもを救った英雄」と称賛した。

 イスラエル警察によると、今回の銃撃テロで7人が死亡、17人がけがをした。けが人の中には子どもも含まれており、2人は頭部を負傷して重篤な状態だという。

 テロを起こしたのは、ヨルダン川西岸の都市ヘブロン出身のパレスチナ人、ムハンマド・チャラフ・サハル・ラジャブ容疑者とハッサン・ムハンマド・ハッサン・タミミ容疑者で、現場から逃走したところを市の保安パトロール隊と市民によって射殺された。

 当局は容疑者らが「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたことから、今回の銃撃をテロ事件として捜査している。

キム・ジャア記者

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