▲北京市内にある飛凡汽車(Rising Auto)の店舗。EVモデルの「F7」が展示されている。/イ・ユンジョン記者

 中国が、韓国の技術を見下すコメントを組織的に書き込んでいることが、韓国の大学による研究によって明らかになった。悪意のある非難コメントは電気自動車(EV)やバッテリー、スマートフォン、eコマース(電子商取引)など、韓国と中国の競争が激しい産業に集中しているとの分析だ。

 韓国のカトリック関東大学警察行政学科の金恩永(キム・ウンヨン)教授と国立昌原大学国際関係学科のホン・ソクフン教授の研究チームは9月29日、「韓中の競争産業分野に対する認知戦の実態把握」と題するリポートで、上記の内容が盛り込まれた研究結果を発表した。

 研究チームは昨年6月から今年8月までの1年間、ネイバー、ユーチューブ、ネイトなどのオンラインプラットフォームで、AliExpress(アリエクスプレス)、Temu(テムまたはティームー)、EV、現代自・起亜、バッテリー、サムスン、シャオミ(小米)など韓国・中国の競合産業に関連するキーワードを基に、記事に付いたコメントを調査した。中国式のアカウント名やプロフィルの特性、中国式の言語習慣、機械による文章作成が疑われるかなど、10項目の基準を用いて中国のものと疑われるアカウントを探し出し、コメント履歴の確保が可能なネイバーを中心にコメントを収集して分析した。

 研究チームがネイバーで、キーワードでヒットした70本の記事を無作為に収集して分析した結果、中国人のものとみられるアカウントは77個あった。これらのアカウントは互いにフォローし合ってつながっており、二つのグループに分かれて韓国の国内産業に関する記事にコメントを書き込んでいたことが分かった。

 研究チームが公開したケースを見ると、EVに関する記事に「中国の車に一度乗ってみるべき。ヒュンギ(現代〈ヒュンダイ〉・起亜車を見下す言葉)は乗るときちょっと注意しないと」とコメントが付いていた。そのほか「現代自・起亜は10年以内につぶれるに1票」「中国車の品質が向上しているのに、現代自・起亜など誰が買うものか」などのコメントが繰り返し書き込まれていた。

 これらのアカウントはeコマース産業に関する記事で、AliExpress・Temu・SHEINなど中国企業を支持するコメントを書き込んでいたことが分かった。これらのアカウントは「韓国企業による値上げに疲れた」「中国の低価格商品を活用して物価上昇を抑えるべき」「AliやTemuなどを積極的に導入すべきだ」「クーパンは韓国企業なのか」「全部中国産じゃないの?」などのコメントを書き込んでいた。スマートフォンと半導体については「現代やサムスン電子よりも中国企業の方が先を行っているようだ」というコメントも目に付いた。

 研究チームはこれらのアカウントが、韓国の国民を怖がらせる戦略を取っていると分析した。「米国は韓国を裏切る」とか「韓国政府の過ちによって関連産業が競争に敗れ、韓国経済が崩壊する」などと恐怖をあおり、韓国が中国を協力対象として選ぶよう強く促しているわけだ。

 また、「現政権は親米・親日政策によって米国と日本の属国になった」などと書き込んで政治的対立を誘発する「分断」戦略も見られた。中国に批判的な見方をした記事については、内容よりも発信者を攻撃するという手法も確認された。報道したメディア自体を非難し、信頼性と影響力を低下させようとしたのだ。

 このほか、韓国内のジェンダー対立、地域対立、政治対立などをあおる投稿を拡散したり、韓国を誹謗(ひぼう)中傷・侮辱するキーワードを一貫して使ったりしていることも分かった。特にユーチューブでは、中国人とみられる239人分のアカウントが最も頻繁に組織的な世論扇動作業を行っていることが分かった。

 研究チームは、こうした事態に対応するためには中国人と疑われるアカウントに対する体系的なプロファイリング指標と対応体制を構築すべきと主張した。

イ・ハクチュン記者

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