▲イラスト=UTOIMAGE

 米国の子供たちは17日からインスタグラムを通じて知らない人物からのメッセージが受け取れなくなる。インスタグラムは未成年ユーザ-のアカウント情報を全て「非公開」に設定するなど、犯罪者から子供を守る対策に取り組んだからだ。また暴力的・性的コンテンツ、攻撃的な言葉や文言へのアクセスも難しくなる。これらの対策はインスタグラムが自発的に行ったものではなく、これまで企業の支援と表現の自由を重視してきた米国でさえ、巨大プラットフォームの弊害が深刻になり規制強化を求める声が高まったことの表れと言えるだろう。

 巨大プラットフォームの影響力は今や世界のどの国でもメディアをはるかに上回る。ユーチューブは全世界人口の31%に当たる25億人、インスタグラムも20億人が使用している。プラットフォーム企業は個人がアップするコンテンツに付随して表示される企業広告収益の30-50%を回収し、巨万の富を積み上げてきた。ところが自分たちのプラットフォームに掲載された有害コンテンツへの対策については「表現の自由」を口実に責任を回避している。また性的搾取、麻薬、テロなどありとあらゆる犯罪の温床になった場合でさえ捜査当局への協力は消極的だ。

 その結果、各国政府はプラットフォームとの戦争を宣布するに至った。フランス検察は先月、テレグラムの創業者で最高経営責任者(CEO)のパベル・ドゥーロフ氏を未成年者の性的搾取物拡散ほう助や共謀などの容疑で逮捕した。ブラジルの裁判所は捜査に協力しないX(旧ツイッター)へのブラジル国内でのアクセスを遮断し、オーストラリア政府はフェイクニュースを放置したプラットフォームに全世界の売り上げの5%相当の罰金を命じる法案を国会に提出した。今年2月からプラットフォーム企業に対して厳しい責任を追及する「デジタルサービス法(DSA)」が施行されている欧州連合(EU)では、グーグルなど複数のプラットフォーム企業に数兆ウォン(数千億円)の罰金支払いをすでに命じている。

 しかし韓国政府は今も続くプラットフォームとの戦争であまりにおとなしい。先月与党と政府はディープフェイク(AIで合成した本物のように見える偽コンテンツ)性犯罪対策を発表したが、その内容は制作者の量刑を厳しくするだけだった。また巨大プラットフォームが関係する事件が起こった際にはこれまで企業側と電子メールでしか連絡できなかったが、今後は直通電話を設置するという程度の内容しかない。

 韓国政府が巨大プラットフォームの顔色をうかがう間に、2021年に世界で初めてプラットフォーム規制法を施行したはずの韓国が、今度はディープフェイクの最大被害国という汚名が着せられた。世界のディープフェイク淫乱物被害者の半分以上(53%)が韓国人だ。韓国政府は関係する法律がないとの理由で対応に乗り出さないため、被害者は結局加害者と顔を合わせて直接責任を追及するしかない。たとえ長期の裁判で勝ったとしても、賠償金は多くて数百万ウォン(数十万円)だ。またプラットフォームへの規制が最終的に自国企業にとってマイナスになることを懸念する声もある。しかし世界のプラットフォーム競争でネイバーやカカオはその名前さえ聞こえてこない上に、急増する韓国人被害者の数まで考えると、「韓国企業の保護」はあまりに悠長な言い訳ではないか。

ユン・ジンホ記者

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