▲イラスト=UTOIMAGE

 ソウル市瑞草区に住む作曲家のキム・ジンヨンさん(33)は今月22日、とんでもないハプニングを経験した。この日午後2時50分ごろ、インターネットで注文したポーチが江南区にあるキムさんの作業室前に届いたという通知を受けたため、午後8時ごろ取りに行ったところ、ポーチが見当たらなかったのだ。別の場所に配送されたのかと思って監視カメラを確認したキムさんは、映像を見て言葉を失った。

 犯人は「カラス」だったのだ。 

 この日午後5時15分ごろ、作業室の前に1羽のカラスがやって来て、2分ほどキョロキョロと周囲を見渡した後、キムさんの宅配荷物をくわえて飛び去ったのだ。キムさんは「カラスが自分の体と同じぐらい大きいポーチ(の入ったパッケージ)を持っていくというあり得ないことが起きていたので、不満をぶつける先もない」として「カラスが宅配荷物を奪っていくだなんて誰も思わないですよね?」と嘆いた。

 最近、ソウル中心部では、カラスが人間の物を奪い去ったという目撃談が相次いでいる。今年3月にはソウル市陽川区の路上で信号待ちをしていたトラックにカラスが近づき、積んであった卵をくわえて飛び去る動画がインスタグラムに投稿され、話題になった。この動画では1羽のカラスが卵をくわえて飛び立ち、すぐに隣に停車している車の上に降りる。その後、別のカラスもこの車の上に降りてきて、卵をくわえて飛んでいく。2羽のカラスが一つの卵を奪い去ったわけだ。この動画には7000件以上の「いいね」が付いた。

 都心でよく見掛けるカラスは「ハシブトガラス」だ。産卵と子育ての時期に当たる4-6月には攻撃的になり、人間を襲うケースも珍しくないという。韓国環境部(省に相当)は昨年12月、ハシブトガラスを有害野生動物に指定した。

 カラスは時折、人間を直接襲うこともある。今年6月にはソウル市竜山区のマンション近くに「ハシブトガラスの攻撃に備えた行動要領」を説明する横断幕が掲げられた。マンションの敷地内に巣を作ったハシブトガラスが通行人を襲い、事故発生の懸念が高まったからだ。昨年5月には「ソウル市蘆原区の路上で通行人がカラスに頭をつつかれ流血しているところを見た」という目撃談がインターネットのコミュニティーサイトで拡散された。

 国立生物資源館・国家渡り鳥研究センターのチェ・ユソン研究員は「最近はマンション団地も住民のために敷地内に緑地を造成するケースが多い上、都会には基本的に生ごみなどカラスの餌が多いため、木に巣を作るカラスにとっては都会が最適な生活空間だ」「さらに、カラスと生息地が重なってライバル関係にあるカササギが1994年に有害鳥獣に指定され、政策的にも個体数を減らしている状況であるため、その影響でカラスが増えたという側面もある」と説明した。チェ研究員は「1990年代までは都心でカラスはほとんど見掛けなかった」とも述べた。

キム・ギョングォン記者

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