▲昨年、釜山で開かれた技能競技大会に参加した配管工(左)と韓国国内のある造船所で溶接作業を行っている熟練工(右)。/キム・ドンファン、アン・サンヒョン記者

 京畿道水原市で配管溶接を教える専門学校には、最近20代の学生が増えている。5年前までは30代が最も若い学生だったが、今では半数以上が20代であるほどだ。これまでは現場の技術職には長時間・低賃金といった認識が支配的だった。しかし、今では定年がないという長所に加え、事務職よりも金を稼げるといううわさも広まり、20代の学生たちが専門学校を訪れているのだ。キム・ジョンフン院長は「配管溶接は3カ月間の教育を終えた時点で、腕が良ければ月に500万ウォン(約53万円)は稼げる」とし「業務の特性上、仕事と休息時間が明確に分かれているだけに『ワーク・ライフ・バランス』が高いのも20代の間で人気がある理由」と話す。

 韓国でも技術職に対する人気が高まりを見せている。高卒後、初めて就職する20代から新しい働き口を求める40-50代まで、現場の技術職分野に参入している。指紋認識機など電子製品を開発していたキムさん(49)は、8年前からエアコン専門清掃業を始めた。彼は「一般の中小企業では昇進が容易でなく、50代まで仕事を続けられる人が少ない中、現場の技術職にはこういった悩みがなく、この業種を選択した」とし「ここ3年で関心が高まり、至る所に企業が設立されている」と続けた。

■年に1000万円以上稼ぐ技術職

 技術職に対する人気が高まりを見せている背景には、賃金が大きく作用している。大韓建設協会と中小企業中央会が昨年、平均賃金を集計した結果、特高圧ケーブルを扱う技術職の1日8時間での平均賃金は42万1236ウォン(約4万5000円)と、1カ月平均で約840万ウォン(約89万円)以上稼いでいることが分かった。このほか、建設現場で高い所に臨時の仮設物を設置する足場工が28万1721ウォン(約3万円)、溶接工が26万2551ウォン(約2万8000円)、左官が25万6225ウォン(約2万7000円)とこれに続いた。建設業界の関係者は「現場では特別勤務や夜勤などが多いので、実際は平均賃金よりも50%は多く稼ぐ」という。

 技術職に対する関心が高まっているが、依然として需要に比べて供給は不足している。技術さえあれば、いつでも仕事を見つけることができるというわけだ。京畿道平沢市で電柱に登って2万2900ボルトの特高圧ケーブルの設置・修理・撤去などを請け負う「パワーケーブル公社」の関係者は「賃金も高く、会社に入社すれば会社の資金で配電専攻資格証など、全ての教育を受けることができ、熟練工として育ててもらえるが、依然として人手が足りない」とし「代表まで現場に赴いて仕事をしている状況」と裏事情に触れた。2年前から百貨店、アウトレットなどで電気配線設備工事を請け負っているチェさん(37)も「いろんな所から現場に来てほしいという依頼が入り、今ではむしろ休みを確保するのが困難だ」とし「好きな時に好きなだけ仕事ができるというのが長所」と笑みを浮かべる。

■技術職の採用・養成が活発化

 韓国国内の技術職に対する認識が変化したことで、技術職の求人・求職をサポートするサービスが登場した。浦項工科大学(POSTECH)の出身者たちで立ち上げたHRスタートアップ(ベンチャー企業)「DeepLeHR」は、生産・技能職専門求人求職プラットフォーム「Gochodaejoldotcom」を昨年12月から運営し始めた。生産・技術職は全採用市場の約30%を占める大きな市場だが、この分野を知らない若者たちが自分に合った広告を見付け出すのは容易でないためだ。現在、「Gochodaejoldotcom」に占める20代志願者の割合は71.5%で、月間アクティブ・ユーザー(MAU)は15万人を超えている。

 若い技術工の養成に向け、企業の支援も引き続き行われている。HD現代重工業は今年初め、技能職人材養成のために塗装教育や溶接実習などのための「プリ(根の意)アカデミー館」をオープンした。韓国を代表する電動工具業者であるKEYANG電気も先月、専門熟練工を夢見る高校生と大学生を選抜し、所属の学校と個人に数百万ウォン(数十万円)相当の各種工具を無償で支援する「ネオブルー」プロジェクトを開始した。米国やドイツなどを中心に、技術職への需要が高まっている中、韓国でも技術職労働者への再評価が行われているためだ。KEYANG電気のイム・ヨンファン代表は「専門性を備えた熟練工は社会的にも貴重な人材」とし「プロジェクトをより一層拡大し、就職への連携や奨学金の支援にも乗り出す計画」と説明した。

ファン・ギュラク記者、アン・サンヒョン記者

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