▲イラスト=UTOIMAGE

 韓国貿易協会の依頼により、中国で活動している韓国企業関係者30人に深層インタビューを行った報告書の草案で「半導体を除けば中国は全てにおいて韓国に追い付き、あるいは追い抜いた」という結論を下したという。「韓国が中国より競争力を有している産業はたった10%」という診断も出た。中国が、米国の強力なけん制にもかかわらず驚くべき速度で発展し、今や質の面でも韓国を追い越したというのだ。

 中国産業の成功は「速度」に要約される。かつては韓国が「パルリパルリ(早く早く)」、中国が「慢慢地(マンマンディ、ゆっくりと)」という文化だったが、今や完全に正反対になった。中国の電気自動車(EV)メーカーが新車を作るのにかける時間は18-20カ月、中国ブランドの平均発売期間は1.6年で、非中国ブランドより2-3年早いという。中国特有の「996勤務制(午前9時出勤、午後9時退勤、週6日)」のおかげだ。かつて韓国が行っていた成功の方程式を、今では中国が実行に移している。韓国の経済部処(省庁に相当)の次官を務めた経験を持つある人物は最近、中国訪問で「われわれは会社から指示されたら、関係社員全員が数日徹夜するくらいは基本」という中国企業役員の話に衝撃を受けたという。世界で最も強力な週52時間勤務規制に縛られ、夕方になりさえすれば研究開発部門の明かりが消える韓国の状況とはあまりに違っていたからだ。

 中国は経済成長率が4-5%台に鈍化したものの、当面の内需振興よりも科学技術の革新の方に優先順位を置いている。そのおかげで造船・化学・鉄鋼など伝統製造業はもちろん、宇宙航空・自動運転・ドローンなどでも飛躍的発展を遂げている。韓国は技術を開発しても規制に縛られて商用化できないが、中国は政府が法律と制度を作って商用化を積極支援する。代表的な新成長分野である自動運転自動車の場合、幾重もの規制に縛られた韓国の開発水準は第1-2段階に過ぎないのに、中国は既に第3-4段階まで進み、本格的な商用化を前にしたレベルにまで到達した。世界市場の展望によると、5-10年以内に中国が世界最大の自動運転モビリティー市場になるだろうといわれている。

 中国政府はドローンタクシー・ドローン宅配・都心航空交通(Urban Air Mobility/UAM)などにも全幅の支援を行い、世界の最先端を走っている。中国は世界のドローン市場の売り上げ70%以上を占めている。2017年からドローン配達サービスを行ってきたオンライン・フード・デリバリーの美団は、中国の大都市に31のドローン路線を構築し、累積注文量は30万件を超えた。韓国がありとあらゆる規制のせいで「慢慢地」な国と化している間に、巨大な中国が革新に向かって恐るべき速度で走っている。こうした現実をきちんと認識しなければならない。

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