▲写真=UTOIMAGE

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は9月3日付で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾を求める集会の写真と共に上記の言葉を掲載した。「トルチョナソ」とは「何かに力強く乗りだそう」という意味を持つ言葉だ。国立国語院標準国語大辞典にもその意味が記載されているが、韓国よりも主に北朝鮮の文書やメディアによく登場するようだ。

 韓国のある団体は尹大統領就任直後から毎週火曜日に大統領弾劾を求める集会を開いているが、北朝鮮住民が目にする労働新聞もこの集会を伝えるニュースを毎回複数の写真と共に報じている。韓国メディアが取り上げることはほぼなく、あまり注目を集めることもない団体の集会だが、北朝鮮の労働新聞はこれを毎週必ず報じている。

 労働新聞はこれまで100回以上にわたり韓国のある団体が行うキャンドル集会のニュースも毎回伝え「集会は各界の注目を集めている」「弾劾の機運が力強く高まっている」などと歪曲(わいきょく)・誇張した内容を北朝鮮住民に伝えている。ただし労働新聞は集会の規模や雰囲気は誇張し歪曲するが、集会がソウル都心で行われた場合は高層ビルや車などはできるだけ見えなくするため、編集した写真を使っているようだ。

 そのため労働新聞が毎週火曜日に掲載する10枚以上の集会写真を見ると、そのほとんどが参加者の手に持っているプラカードの文言、あるいは集会のスローガンが書かれた横断幕を撮影したものばかりだ。韓国政府当局者も「ソウル市内中心部の高層ビルや多くの車が通行する様子は労働新聞ではほぼ見られない」「意図して集会の文言だけを拡大した写真を中心に編集し、使っているようだ」と指摘した。

 韓国大統領の弾劾を求める集会の写真が北朝鮮住民に繰り返し伝えられているわけだが、これは北朝鮮当局が意図しない影響をもたらすとの見方もある。三代世襲体制が維持されている北朝鮮では、指導者に対する弾劾自体が目新しい概念だ。上記の韓国政府当局者は「北朝鮮の労働新聞に掲載された大統領弾劾集会の記事は韓国国内では何の影響もないが、むしろ北朝鮮住民の考え方に大きく影響する可能性がある」「小雨で服が濡れていることを知らないようなもので、北朝鮮住民に指導者を交代させ引きずり下ろしたい考えを持たせるきっかけになるかもしれない」とコメントした。

キム・ミンソ記者

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