▲グラフィック=ヤン・ジンギョン

 今年も秋夕(チュソク、旧暦8月15日)連休を前にKTXの座席が予約できなかった市民はキャンセル待ちでも激しい競争が続いている。その一方で名節(旧正月と秋夕)の連休期間中も毎年のように大量の予約キャンセルが相次ぎ、空席が多い状態で運行するKTXも多く、空席の総数は何と20万席に達していることが分かった。「名節の期間だけでもKTXのキャンセル料を引き上げ、モラルハザードを改善して利用率を高めるべきだ」などの声も相次いでいる。

 国会交通委員会所属で野党・共に民主党の尹鍾君(ユン・ジョングン)議員事務所によると、今年2月の旧正月連休期間中にKTXでは19万5244席がキャンセル後の利用もなかった。旧正月連休に販売された166万席のうち、11-12%が最終的に空席の状態で運行したことになる。この期間はSRTでも5万4400席以上が空席となり、これらを合わせると旧正月連休における高速鉄道の空席は25万席に達したことになる。

 同じような状況は毎年繰り返されている。過去5年間の旧正月・秋夕連休期間におけるKORAILでの第1次の乗車券キャンセル率は平均販売枚数(331万6919枚)の41%(135万8496枚)に達した。キャンセルされたチケットの一部はキャンセル待ちの客に再販されたが、一部は最後まで売れ残り、最終的に空席となった。

 KORAILは名節には普段よりも列車の運行を大幅に増やして予約を受け付ける。名節の3-4週間程前の1日を定めて全ての国民を対象に事前に販売するやり方で、その時点でチケットのほとんどは売れる。今年の秋夕も8月21日に事前販売が行われた。首都圏から釜山、大邱、大田、光州など主要都市を行き来する列車の切符は販売開始から5分で完売となる。

 その時に切符を購入できなかった客はスマートフォンのKORAILアプリなどに何度もアクセスし、キャンセルがないかチェックするしかない。「キャンセル待ち」の機能もあるが、キャンセルは出発時間間際に行われるケースが多いため、名節ではほとんど意味がない。ある市民は「秋夕を前に家族全員がKORAILのアプリとホームページに毎日アクセスしているが、まだ買えていない」と語る。普段はKTXの出発まで時間的に余裕がある時にキャンセルとなった切符を他の乗客が購入し利用するケースが多い。しかし家族全体で移動する名節の場合は通常出発の1-2日前までに予約できなければ、他の交通手段を利用するケースが少なくない。そのため出発時間直前にキャンセルとなったチケットは他の客も利用できず捨てられてしまう。

 これはKTXのキャンセル料率の低さとも関係していると専門家は指摘する。通常の乗車チケットの場合、名節期間でも出発前日までのキャンセルであればキャンセル料は400ウォン(約43円)ですむ。当日3時間前までなら運賃の5%、わずか1分前のキャンセルでもわずか10%だ。出発後でも20分以内のキャンセルなら支払った額の85%が帰ってくる。ある私立大学の物流学科教授は「名節期間は出発の数分前にキャンセルとなった切符はほぼ空席になる。そのため少なくとも出発の3日前からはキャンセル料率を大幅に引き上げ、見えないキャンセルチケットを見えるようにしなければならない」と指摘する。

 キャンセル料率の低さが影響してかダフ屋も横行している。中古品取引サイトなどには「秋夕KTXチケット譲渡」などの出品も多い。名節は家族単位の移動が多いため、座席が近いほど価格にプレミアが付く。KORAILは大手の中古品取引サイトで販売される闇切符を常に監視し通報などの対策を取っているが、全てを防ぐのは不可能だ。キャンセル料率の引き上げが解決策だが、その一方でKORAILに対しては「毎年キャンセル料だけで数百億ウォン(数十億円)の収益を上げている」との批判も根強い。

キム・アサ記者

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