【ソウル聯合ニュース】韓国政府は4日、今年3回目の国民年金審議委員会を開いて「年金改革推進計画」を確定した。保険料率を現行の9%から13%に引き上げ、40%に引き下げられる予定だった名目所得代替率を42%とする。政府が単一の改革案を発表したのは2003年以来21年ぶり。これにより、国民年金改革に関する議論は国会へと舞台を移すことになった。 

◇27年ぶり保険料率引き上げへ 所得代替率は下落に歯止め 

 国民年金の保険料率は1998年に9%となって以降、26年間据え置かれていた。

 所得代替率は引退前の所得(平均所得)のうち年金によって代替される割合で、年金の所得保障水準を意味する。年金改革で議論される所得代替率は、40年間の加入を前提とする名目所得代替率だ。

 名目所得代替率は国民年金導入時には70%と高く設計されていたが、08年に50%に下落して以降は毎年0.5%ずつ引き下げられ、28年までに40%に調整される予定だ。

 今年の名目所得代替率は42%だが、政府案はこれ以上下げずに据え置く内容だ。

 政府案が国会で可決され、来年施行されれば、保険料率は27年ぶりに引き上げられ、名目所得代替率は国民年金の導入後初めて下落に歯止めがかかることになる。

 また、政府案は基金収益率の1%引き上げも提示した。

 昨年の第5次財政推計で設定された長期収益率4.5%を5.5%に引き上げ、基金が底をつく時点を56年から72年に遅らせる計画だ。

◇中高年層の保険料引き上げ 財政悪化すれば支給額減額へ

 政府案は保険料率を13%に引き上げるとともに、世代に応じて保険料率の引き上げペースに差をつける案を提示した。 

 来年から50代の加入者は毎年1ポイント、40代は0.5ポイント、30代は0.3ポイント、20代は0.25ポイントそれぞれ引き上げる。

 このような方法は世界的にも例がなく、中高年層が激しく抵抗すると予想され、国会での議論も紛糾するとみられる。

 政府は年金基金の持続可能性を担保するために平均寿命や加入者数の増減を年金支給額と連動させる「自動調整装置」の導入も検討する。

 支出が保険料収入を超える時点や基金が減少に転じる5年前、基金が減少に転じる時点など、財政の危険度に応じて支給額を変える方式だ。現在の支給額は消費者物価変動率によってのみ調整されている。

 自動調整装置は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中24カ国が導入しているが、専門家の間では時期尚早との声も出ている。

 曺圭鴻(チョ・ギュホン)保健福祉部長官は、「改革案の核心はあらゆる世代が制度の恩恵を公平に享受できるよう持続可能性を高めたこと」とし、「世代間の公平性を向上させ、国民の老後生活をより堅固に保障するための方策を細かく検討した」と述べた。

◇基礎年金引き上げの公約履行へ 義務加入期間延長も   

 現在は月30万ウォン(3万2400円)支給されている基礎年金については、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の大統領選での公約である40万ウォンへの引き上げを推進する。

 26年時点で中位所得50%以下の高齢者を対象に引き上げ、27年には対象者全体(所得下位70%)に拡大する計画だ。

 このほか、国内居住要件(19歳以上、5年)や海外所得・財産申告義務の新設などによって基礎年金制度の充実を図る。

 国民年金保険料を納付しても基金の枯渇で受給できなくなるかもしれないという若者層の懸念を払拭するため、国民年金の支給を法的に保障する方策も推進する。

 高齢者の経済活動への参加が増え、平均寿命も伸びていることを踏まえ、現在59歳となっている国民年金の義務加入期間の上限を64歳に延長することも検討する。

 ただ、義務加入期間のみが延長された場合、60代前半での所得の空白が深刻化する恐れがあるため、高齢者の継続雇用条件改善と連携して長期的に議論することを決めた。

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