▲写真=news 1

 3日午後、ソウル・光化門のある大手フランチャイズ店のカフェでは、プラスチック・ストローを見つけることができなかった。このカフェでは「環境保護」のために紙ストローだけを提供している。紙ストローを使う人もいるが、使わないで口を付けて飲む人もいる。使い終わった紙ストローは「一般ゴミ」と書かれたゴミ箱に捨てたり、コップに挿したままにしたりしてあった。一方、このカフェの真向かいにあるテイクアウト専用カフェでは山積みになっているプラスチック・ストローが使用されていた。

 韓国環境部(省に相当)がカフェなどでプラスチック・ストローを使用できないようにした使い捨て用品規制を撤回し、業者の自主的な判断に任せることにしてから10カ月が過ぎた。 多くのカフェで紙ストローよりコストが安いプラスチック・ストローを使っているが、一部のカフェでは「エコ」を前面に打ち出して紙ストローだけを提供している。ところが、紙ストローの方がプラスチック・ストローよりも環境に対して悪影響が大きいという環境部の用役報告書が今年3月に出ていたことが分かった。紙ストローは気候変化に影響を与える二酸化炭素(CO2)排出量、酸性化、淡水生態系に及ぼす毒性、人間に及ぼす毒性、富栄養化項目においてプラスチック・ストローより環境に悪いことが分かった。紙ストローも結局ゴミとして排出されるため、「代替品を探すよりもストローの使用そのものを減らすべきだ」と指摘する声が上がっている。

 本紙が与党・国民の力所属の金渭相(キム・ウィサン)議員室を通じて確保した環境部用役報告書によると、プラスチック(PP)ストローと紙ストローをそれぞれ生産して使用し、廃棄するまでの全過程評価(LCA=製品の全過程に消耗されるエネルギーと排出される物質量を定量化する環境影響評価)をした結果、紙ストローの方が有害物質排出量が多いことが分かったとのことだ。金渭相議員は「前政権でプラスチック・ストローを紙ストローに切り替えるよう誘導したのは、典型的な『グリーンウォッシング政策』だ」「プラスチック・ストローも環境に良くない影響を及ぼすのだから、ストローそのものの使用を全般的に減らすよう努力する必要がある」と語った。グリーンウォッシングとはうわべだけ環境に配慮しているようにみせかけた欺まん的な環境活動のことだ。

 まず、地球温暖化の尺度である二酸化炭素排出量は、使い終わったストローを埋め立てても、焼却しても、どちらの場合も紙ストローの方が多かった。米国の一日のストロー消費量とされる5億本を埋め立てた場合を基準にすると、紙ストローは258万キログラムの炭素を排出し、プラスチック・ストローの炭素排出量(56万6000キログラム)の4.6倍に達した。 埋め立てではなく焼却した場合も、紙ストローの炭素排出量はプラスチック・ストローの1.9倍だった。この他、水や土壌を酸性に変える酸性化は紙ストローが2倍、川・湖など淡水生態系に及ぼす毒性は7倍、人間に及ぼす毒性は4.4倍多いことが分かった。富栄養化(川・海・湖などで栄養物質が増加して藻類が急速に増殖する現象)物質は紙ストローを埋め立てた場合の方がプラスチック・ストローを埋め立てた場合より4万4000倍以上多く排出された。プラスチック・ストローが紙ストローより環境面で役立つ項目はオゾン枯渇、土壌毒性、資源枯渇くらいだった。

 このような研究結果は、2021年に環境部がストロー規制を推進した時とは正反対だ。環境部は当時、2019年に実施した研究用役に基づいて「プラスチック・ストローより紙ストローの(否定的な)環境影響の方が平均72.9%低い」と発表した。しかし、当時の研究用役では使用したストローの廃棄段階は除き、「原料の取得および製品生産時」までの環境影響だけを比較していた。その後、環境部は1年間の啓発期間を経た上で、「紙ストローに対する消費者満足度が低かった」という理由でストロー規制を無期限猶予した。

 紙ストローが思ったほど環境にやさしいものではない理由は、100%紙や生分解される製品ではないからだ。一般的に紙ストローを含む紙の使い捨て用品はぬれるのを防止するためにコーティングされているが、埋め立てや焼却の過程でコーティングされた部分から環境や人体に良くない物質が排出される。紙ストローは水に溶けたり、地面に埋められたりしてもマイクロプラスチックが排出され、海洋生物などに影響を及ぼしかねないという意味だ。また、紙を加工する過程でも炭素と有害物質が排出され、これにプラスチック・コーティングをするため、二重に炭素が排出されることになる。

 結局、紙のストローもゴミであるため、ストローの使用自体を減らしていかなければならないという主張もある。研究チームは「一部の項目で紙ストローより環境的影響が少ないからといって、プラスチック・ストローの使用を正当化することはできない」と話す。その上で、ストローを使わずにふたに口をつけて飲む方法を代案として提示した。

キム・ユンジュ記者

ホーム TOP