▲イラスト=チョン・ダウン記者

 韓国で女性の顔写真にわいせつな映像を合成した動画を制作・流布する「ディープフェイク性犯罪」の被害が続出していることについて、海外メディアも注目している。英国BBCは「韓国が非常事態に直面した」と表現し、英紙ガーディアンは「韓国が急増するディープフェイク性犯罪と戦っている」と報じた。

 英BBCは28日(現地時間)「最近、未成年者を含め性的に露骨なディープフェイク画像を制作・共有するチャットグループが多数発見された」として「韓国の大統領は当局にデジタル性犯罪を根絶するための取り組みを一層強化するよう求めた」と現在の状況を報じた。

 BBCは「韓国はデジタル性犯罪に対する暗い歴史を抱えている」と指摘。例として、メッセンジャーアプリ「テレグラム」でわいせつ動画を共有する「博士部屋」(n番部屋事件に関連するチャットルームの一つ)を運営し、性的搾取物を制作・流布して懲役42年を言い渡されたチョ・ジュビン服役囚を挙げた。また、最近ではディープフェイク性犯罪が急増しており、200校以上の学校が被害を受けたとみられると報じた。

 BBCは「韓国の上場企業の役員のうち女性はわずか5.8%で、韓国の女性は平均して男性の3分の1程度の賃金で働いており、世界の富裕国の中で男女の賃金格差が最も大きい」と指摘した。さらに「急成長するテクノロジー産業にあおられてセクハラ文化が広がり、デジタル性犯罪が爆発的に増加している」とつづった。その上で「過去には女子トイレや女子更衣室などで服を脱いでいる女性が超小型カメラで撮影されるケースもあった」と説明した。

 英紙ガーディアンは同日「あるテレグラムチャンネルでは、22万人の会員がディープフェイク画像や動画を制作して共有しており、被害者と加害者の相当数が未成年者だ」と報じた。

 同紙は、違法撮影犯罪(盗撮)を指す韓国語「モルカ」(「隠しカメラ」の略語)を紹介。同紙は「『モルカ』を根絶するための長きにわたる努力の末、韓国は今、ディープフェイク画像と戦っている」として「今年に入って7カ月間でディープフェイク犯罪関連の通報が297件あったが、これはデータの集計を始めた2021年の2倍近い数字だ」と説明した。その上で「実際には公式発表の数字よりも問題がさらに深刻だとみられる」と指摘した。

 同紙はまた、チョ・ジュビン服役囚に言及し「ディープフェイク性犯罪に関する捜査は、インターネットで性的脅迫組織を運営するのに使われていたテレグラムの韓国国内での評判にさらに大きな打撃を与えるとみられる」とつづった。

 ロイター通信は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が28日に国務会議(閣議)で「ディープフェイク映像物は匿名という保護膜に隠れて技術を悪用する明白な犯罪行為」と述べて強力な対応を求めたと報じた。同通信は「尹大統領はSNS(交流サイト)での性犯罪について全般的に話をし、テレグラムという名前には言及しなかった」とした上で「テレグラムはこの件に関するコメントを求められたが、即座には回答しなかった」とつづった。

イ・ガヨン記者

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