▲韓国の趙兌烈外相(写真左)と中国の王毅外相が7月26日、ラオスのビエンチャンで2国間会談を行い、握手をしている様子。最近、中国は韓国との対話チャンネルを続々と復活させている。/聯合ニュース

 韓中関係の行き詰まりや新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で中断していた韓中の対話と交流が、次々と復活している。韓中関係に「薫風」が吹いている背景を巡っては、中国政府のグローバル「戦術」の修正がある、という分析が支配的だ。中国当局が、戦狼(せんろう)外交に代表される露骨な強圧戦術は各国の反中感情をあおるばかりだったと判断して、国際社会における世論管理に入り、その一環として韓国との対話も復元させている-という話だ。ただし「中華民族の偉大な復興」という習近平主席の目標と根本的戦略が変更されたわけではない、という分析も出ている。

 韓国産業通商資源部(産業部。省に相当。以下同じ)の鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長は8月20日、中国・山東省済南市を訪れ、経済通商協力交流会を開催した。産業部と山東省人民政府間の対面会議が復活するのは2019年以来、5年ぶりだ。その前日の19日、外交部では、韓中青年交流の一環として中国・北京と青海を訪れる青年50人から成る韓国代表団の発隊式が行われた。19年以来中断していた韓中青年交流は、今年5月、韓日中3カ国首脳会議に出席するため来韓した中国の李強首相と、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の2国間会談において、人的交流を拡大すると合意したことにより5年ぶりに復活した。

 5月の韓日中3カ国首脳会議は、中国の変化を示す「信号弾」だった。2019年12月の中国・成都における会議を最後に中断していた韓日中3カ国首脳会議は、次期開催国である韓国の再開要請に中国が微温的な反応を示し続け、4年以上も中断したままだった。ところが今年に入って、中国が前向きな態度を取り、4年5カ月ぶりに首脳会議が再開できた。3カ国首脳会議の直前には、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相が中国の王毅外相の招請で北京を訪れ、2国間会談を行った。韓国外相が北京を訪れるのも6年6カ月ぶりのことだった。

 中央政府レベルの対話が復活すると、地方自治体間の交流も増えた。4月の遼寧省党書記、6月の江蘇省党書記などの来韓に続いて、8月上旬には甘粛省副書記が韓国を訪れた。呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も7月末に北京を訪れ、殷勇・北京市長と会談した。

 外交関係者らは、こうした変化の背後には、昨年から明らかになりつつあった中国の対外戦術の変更が存在する、とみている。パク・ピョングァン国家安保戦略研究院首席研究委員は「経済の不安定や高い青年失業率など、習主席は対内・対外的に解決すべき課題があまりに多い。『内憂外患』の状況をつくらないようにするため、管理モードに転換せねばならなかったのだろう」と語った。

 外交部の元高官も「昨年11月の習近平主席と米国のバイデン大統領の会談以降、中国は対米関係を『管理モード』に変えた」「それと同時に米国の同盟国・友邦国との関係も、もう少し融和的に持っていきたいという決定を行ったものとみられる」と語った。今年、米国の首都ワシントンと西部サンディエゴ・サンフランシスコの動物園へ新たにパンダを贈ることとし、「パンダ外交」を復活させたのが象徴的な場面だ。

 米国の同盟・友邦諸国に対する中国の態度も変化した。韓日中3カ国首脳会議が復活した今年5月、習主席は5年ぶりに欧州歴訪に乗り出し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領などと会談した。7月には中国外交部の馬朝旭・副部長が日本と韓国を相次いで訪問し、日中、韓中外務次官戦略対話をそれぞれ4年半ぶり、2年7カ月ぶりに復活させた。つい最近の8月19日には、ベトナム共産党のトー・ラム書記長を中国に招いた。

 外国に対する攻撃的な発言にふけっていた「戦狼外交官」も一線から退いた。中国は、戦狼外交官の先鋒(せんぽう)だった趙立堅・外交部報道官を昨年1月に辺境海洋事務司の副司長という低い地位に異動させた。尹錫悦政権と衝突していたケイ海明・駐韓中国大使も、予想より早い7月上旬に帰国させた。

 しかし、こうした変化は一時的な「戦術修正」に過ぎず、根本的な「戦略変更」ではない、という分析は多い。習主席は昨年12月、外交分野の最高会議である中央外事工作会議を招集して「強国建設、民族復興の偉業を全面的に推進する上でより有利な国際環境を造成し、堅実な戦略的支援を提供しなければならない」と語った。ソウルのある外交消息筋は「非公開の会議の席では、中国の立場を以前よりもさらに強く押し出して圧迫している」とし「国家的イメージ管理のため方法を変えただけで、対内的環境が良くなれば、またいつでも戦狼外交をやりかねない」と語った。

金真明(キム・ジンミョン)記者

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