▲イラスト=UTOIMAGE

 仁川市に住むチェさん(30)は最近、知人の結婚式に出席した際、ご祝儀の受付台がないことに気が付いた。受付台が設置されるはずの場所には「ご祝儀自動受付機」(キオスク端末)が1台置いてあった。チェさんより先に到着した出席者たちは、自動受付機の前に並んで順番にご祝儀を出していた。自動受付機の画面に表示された「新郎ご祝儀」「新婦ご祝儀」のどちらかを選び、本人との関係と名前を入力して現金を機械に入れれば食事券と駐車券が出てくる仕組みだ。チェさんは「ちょっと戸惑ったけど、実際に使ってみるとご祝儀を簡単かつスピーディーに贈れるので良かった」と話した。

 韓国のMZ世代(1980年代前半から2000年代にかけて生まれた世代)のカップルが、結婚式の際に「ご祝儀自動受付機」を設置するケースが増えている。主にご祝儀の受付係を依頼する友人や親戚が見つからない場合に利用されている。今年4月に結婚したシン・ソラさん(33)は、ご祝儀の受付係を依頼できる親戚が1人しかいなかったため、ご祝儀の受付台のほかにご祝儀自動受付機を1台設置した。シンさんは「受付係の親戚も、受付台でずっとご祝儀を見張る必要がなかったため、結婚式を見ることができた」と話した。自動受付機で集められたご祝儀は、結婚式が終わるとすぐに新郎新婦に渡された。ご祝儀を出した人の名簿と金額をまとめたExcelファイルも同時に提供されるため、ご祝儀の帳簿を整理する手間も省けたと話した。

 ご祝儀自動受付機を設置するのは「ご祝儀泥棒・詐欺」を防ぐという目的もあるという。最近インターネットのコミュニティーサイトなどには、受付の混雑に乗じてご祝儀を盗むケースや、中身が空のご祝儀袋を出して食事券と引き出物をもらうケースなどが書き込まれている。11月に結婚するユン・ソヒョンさん(24)は「自動受付機でご祝儀を集めた方が安全だと思い、レンタルすることにした」と話した。

 自動受付機の利用代金は約20万ウォン(約2万1700円)だ。ある自動受付機のレンタル企業は「結婚式が多い9-10月はすでに予約でいっぱい」だとして「今年に入って口コミで広がり、昨年に比べて売り上げが50%以上伸びた」と話した。

 しかし、機械の使い方に不慣れな高齢層を中心に「自動受付機の使い方を教えてくれるスタッフが手を貸してはくれるが、それでもご祝儀袋を係の人に直接渡すよりも難しいし不便だ」という声も聞かれる。「ご祝儀は出席者の気持ちのこもったものなのに、機械で受け取るのは礼儀に欠けるのではないか」という反応もある。先ごろご祝儀自動受付機を利用したというイさん(74)は「人間がやっていたことを機械が代行すると『お祝いの席』という意味が少し薄れる気がする」として「自分の家族の結婚式だったら反対すると思う」と話した。

 一部では、自動受付機も他のコンピューターシステムのようにハッキングなどによる個人情報流出の恐れがあるとの指摘も出ている。

オ・ユジン記者

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