▲グラフィック=イ・チョルウォン

 日本のアイドルグループが多数出演する韓国初のJ-POP音楽フェスティバルが、11月8日から三日連続で京畿道一山のKINTEX HALLで開催される。日本のアイドルグループAKB48、新しい学校のリーダーズなど17組が来韓する。先月30日、出演者の一部だけが公表された状態でチケットが発売されたが、わずか5分で完売した。

 K-POPが日本を席巻したのに続き、今度はJ-POPが韓国に上陸し始めた。両国の間にあった「文化の国境」は既に崩れてしまった。若者たちの間では、相手の国への好奇心や文化的関心を表現するのをためらうような風潮は全くない。最近、日本の東京ドームでは韓国のガールズグループ「NewJeans」が二日間の公演で約9万人の観客を集めた。そして今やJ-POPも韓国の音楽市場で大きな人気を集めている。文化評論家のイ・ムンウォン氏は「両国の若者たちは過去の歴史にとらわれていないようだ」として「韓日間の文化交流に政治的状況が影響を及ぼしにくい状態になってきた」と説明した。

 日本最大の芸能プロダクション、ジャニーズ事務所(現・STARTO ENTERTAINMENT)出身の7人組ボーイズグループ「なにわ男子」は来年1月11、12の両日に仁川のインスパイアアリーナで単独来韓公演を開催する。2008年にボーイズグループ「嵐」が二日間にわたる4回の公演で3万人の観客を動員し、J-POPの最多観客動員数を記録したが、今回なにわ男子はその記録を破るものとみられている。

 韓国はこれまで「J-POPの禁域」とされていた。1998年に金大中(キム・デジュン)政権が日本文化の開放措置を宣言し、2004年に全面開放されたが、韓国のテレビやラジオで日本の音楽を聞くのはほとんど不可能だった。しかし、YouTubeや、動画配信サービス、音楽プラットフォームなどで音楽を自由に選んで聞けるようになり、自発的なファンダム(熱狂的なファンの集団)が生まれた。評論家のイム・ヒユン氏は「かつては韓国で日本の音楽に触れる機会自体が少なかったが、最近ではTikTokやYouTubeなど多様なソーシャルメディアを通じて音楽の国境が急速に消え始めている」と述べた。

 来月21-22日に500席規模のムシンサガレージ(ソウル麻浦区)で公演を行う富岡愛のように、日本国内ではさほど有名ではないが、韓国で先に有名になったケースもある。ソーシャルメディアを中心に富岡の曲『グッドバイバイ』がヒットしたのだ。韓国でも配信された人気アニメ作品の主題歌を歌ったOfficial髭男dism、YOASOBI、AdoなどのJ-POPアーティストたちが続々と来韓しているのも注目すべき点だ。

 韓国の音楽配信市場にもJ-POPの人気が反映されている。韓国の音楽配信サービス「ジニーミュージック」で利用者のJ-POP再生回数を分析した結果、前年に比べて93%も増えたことが分かった。韓国歌謡を含むジャンル別の鑑賞比率では、J-POPが1.2%でジャズ(0.6%)とクラシック(0.7%)を上回った。2018年の時点ではJ-POPの割合はわずか0.4%だった。世界最大の音楽配信サービス「Spotify」も、今年7月に韓国のユーザーによるJ-POPの月間再生回数が前年同期比で40%増加したことを明らかにした。J-POPが好きだというパクさん(29)は「2-3年前までは日本の音楽を聴いていると『オタク』とからかわれたものだが、今では街でJ-POPが流れていて隔世の感がある」と話した。

 韓国国内の公演企画会社もJ-POPの韓国上陸を歓迎している。ある大手公演企画会社の関係者は「日本のバンドは英米のバンドに比べて移動距離が短く、韓国に招く際の費用が少なくて済む上、動員人数も500人から1万人などさまざまな規模のアーティストが豊富にそろっている」とした上で「キレッキレの完璧なダンスと歌を披露する韓国のアイドルとは異なり、日本のアイドルは親しみやすく、バラエティー(番組)に近いステージを見せる。異なる魅力がマニア層を引きつけているようだ」と話した。

 J-POPも韓国を、世界進出の前に経由すべき地だと考えている。評論家のファン・ソンオプ氏は「これまで日本は国内市場だけでも十分な収益を上げられていたため、韓国に注目することはなかったが、最近は変わってきた。韓国でコンサートを行うと非常に人気のあるグループとして認められるため、この点がJ-POPの来韓公演に影響を及ぼしている」との見方を示した。

ユン・スジョン記者、キム・ドンホン記者

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