▲蚕室野球場で行われたLGと斗山の試合で力投する斗山先発の白川恵翔。8日撮影。/スポーツ朝鮮=ホ・サンウク記者

 プロ野球斗山ベアーズの公式SNS(交流サイト)で13日に公表された先発投手に多くのコメントがついた。「光復節に日本人投手が先発するのはおかしい」「光復節に白川が先発するのはちょっとちがう」など、どれも斗山所属の日本人投手である白川恵翔(23)についてだった。通常だと先発投手はローテーションに従って登板するため、白川は14日に先発の予定だった。ところが試合が雨で順延となったため白川は15日に登板することになった。

 15日は光復節だ。一部のファンが「光復節の日本人投手登板は不適切」と抗議したため、斗山は白川の登板を16日とし、光復節の試合には白川の次に投げる予定だった韓国人投手の崔源峻(チェ・ウォンジュン)を登板させた。「反日攻撃に屈服した」との指摘に斗山は「光復節とは関係ない」と反論した。

 この問題については「特定の選手の人種、国籍、性別を問題視し、試合への出場を妨害あるいは反対するのは国際スポーツ界で厳しく禁じられている差別行為だ」との批判も相次いでいる。韓国ファンからも「光復節を理由に日本人投手の登板に反対するのは差別であり、無知な行為だ」との指摘もある。日本では2014年にサッカーJリーグの浦和レッズサポーターが同チーム所属だった在日4世の李忠成、対戦相手だったサガン鳥栖の尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督など韓国人に向け「JAPANESE ONLY」と書かれた差別を連想させる横断幕を設置した。これを重く見た日本サッカー協会は浦和レッズに対して史上初の無観客試合の処分を下し、当時の菅義偉官房長官も「非常に遺憾」とコメントした。

 斗山の対応についても波紋が続いている。日本の独立リーグを経て韓国にやって来た白川は「韓国に来られて幸せだ」と語るなど、韓国文化に好意的な姿勢から「カムジャ(じゃがいも)」の相性で親しまれてきた。しかし過去には今回のようなことは起こらなかった。2009年の光復節にはSK(SSGの前身)の日本人投手だった門倉健が先発で登板し、2010年の光復節には当時LG所属だった日本人の岡本真也がリリーフで登板した。そのため他チームの関係者は「突然なぜこんなことが起こったのか理解できない」と語っている。

 斗山は「白川は相手のロッテを苦手にしていたため登板させなかった」としているが、白川は以前もかつて打ち込まれたLGに連続して登板したことがある。そのため「苦手という判断はその時によって変わるんだ」などいやみのコメントも出ている。しかもロッテが苦手とされたのは以前所属していたSSG時代の話で、斗山に来てからはまだ一度も対戦していない。そのため「説得力がない。そんな理由で(先発ローテーションを)回すチームはおそらくない」との反論もある。

 斗山は15日に蚕室野球場に掲げられた日章旗も下ろした。プロ野球チームはどこも所属する外国人選手を歓迎する意味合いからその国の国旗を球場に掲げており、斗山も20年にわたりこの慣例を守ってきた。ところが今回一部から「光復節に日章旗を掲げるなどあり得ない」との抗議があり、斗山はこれを受け入れた。斗山も当初は「政治とスポーツは別とする国際オリンピック委員会(IOC)の原則に従い日章旗を掲揚する」としていたが、翌日には「太極旗(韓国の国旗)を除く全ての国の国旗を降ろす」として方針を変えた。

 これが海外で行われれば人種差別として大きな問題になりかねない。2021年には孫興ミン(ソン・フンミン)に対し英国の一部ファンがSNSで「家に帰って犬肉でも食ってろ」「小さい目の黄色人種」「中国の演技大賞候補」などヘイト的な攻撃を立て続けに行い、またスペインのレアルマドリードのFWビニシウス・ジュニオールは「猿」などと侮辱された。今回の一連の行為もこれらと大差ないと考えられるからだ。海外の競技団体はこの種の行為に対しては多様で厳格な懲戒を下している。

 韓国プロ野球(KBO)も規約第151条で「選手やチーム、コーチングスタッフなどが宗教、人種、性別などを理由に試合以外で品位を傷つける行為を行い、社会的に物議を醸した場合は失格処分、職務停止、参加活動停止、出場停止、制裁金あるいは警告などの処分を下すことができる」と定めている。昨年6月に韓国プロサッカー連盟はかつて全北現代で活躍したタイ代表のDFササラック・ハイプラコーンへの人種差別的なコメント(肌の色への言及)をSNSに掲示した朴鎔宇(パク・ヨンウ)、イ・ギュソン、李明載(イ・ミョンジェ)に出場停止1試合、制裁金1500万ウォン(約160万円)の支払いを命じた。当時連盟は「人種の特性で選手を区分するとか、冗談のネタにすることも人種差別あるいは人権侵害に相当すると判断した」と説明した。

ペ・ジュンヨン記者

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