▲日本の植民地支配からの解放記念日「光復節」だった15日、韓国プロ野球の斗山ベアーズ対ロッテ・ジャイアンツの試合がソウル・蚕室野球場で行われた。その外野席の上には太極旗(韓国国旗)と斗山ベアーズの旗、ロッテ・ジャイアンツの旗が掲げられていた。この場所にはもともと、日本・カナダ・米国の国旗が掲げられていたが、「光復節だから日の丸を下ろせ」との批判を受けて球団側が旗をすべて下ろし、太極旗と球団旗を掲げたものだ。写真=李徳熏(イ・ドクフン)記者

 8月15日の式典をめぐり、韓国政界がひどく分裂した第79回光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)。親日と反日をめぐり、韓国の各地でもありとあらゆるドタバタ劇が繰り広げられた。

 韓国プロ野球(KBO)斗山ベアーズに所属している日本人投手・白川恵翔(23)は15日、ロッテ・ジャイアンツとの試合で先発登板する予定だった。ところが、一部の野球ファンが交流サイト(SNS)の同球団公式アカウントに「光復節の試合に日本人投手とは何事だ」と抗議し、白川は結局、16日に登板することになった。

 斗山ベアーズの本拠地・蚕室野球場に掲げられた日の丸も批判を浴びて撤去された。同球団は約20年間、所属選手の母国の国旗を球場に掲げてきた。現在は韓国のほかに米国・カナダ・日本の選手がプレーしており、4カ国の国旗が掲げられていた。ところが、「光復節に日の丸を掲げるだなんてとんでもない」などの抗議が殺到したため、斗山ベアーズは15日午後2時ごろ、日の丸を下ろした。

 同球団の関係者は「約20年間、日本人選手が所属していた期間は光復節でもいつも通り日の丸が掲げられてきた」と話す。野球ファンのキム・ソンチョルさん(26)は「韓国に金を稼ぎに来た20代の外国人選手がどんな悪いことをしたというのか」と言った。「国民所得でも(韓国は)日本を上回ったのに、後進国のような振る舞いはするな」などの反論もあったが、「光復節に日の丸は見たくない」という意見も少なくなかった。

 ソウル市西大門区の西大門刑務所歴史館では14日と15日、日本による植民地支配時代の巡査の制服を着たスタッフたちに向かって水鉄砲を撃つ「独立軍戦闘体験」という企画が開始直前に中止になった。「子どもたちに憎悪と敵意を植え付けるつもりか」との指摘があったためだ。西大門区の関係者は「光復(日本の植民地支配から解放されたこと)ムードを体験しようという趣旨だったが、子どもの教育上、良くないということで中止した」と説明した。西大門区ではこうした催しを2010年代から実施しているという。

 日本料理店の中には、光復節に営業をしているという理由で後ろ指を差された店もある。あるインターネット掲示板には「光復節にうちの町のすし屋は通常通り営業中」「経営者の認識(の低さ)は実に残念」という投稿があった。その反対に、光復節に休業している日本料理店に対しては「概念(常識)のある店」と評価する声もあった。ネット掲示板のあちこちで、光復節に日本のビールを飲んだり、日本の製品を利用したりすることについて適切かどうかを巡り論争が起きた。

 韓国の公営放送局KBSでは、イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニのオペラ『蝶々夫人』(1904年初演)を15日午前0時から放送したが、「光復節に不適切な放送だ」と批判された。『蝶々夫人』は日本の明治時代の長崎を舞台に、日本人女性の蝶々さん(蝶々夫人)と米国人将校の関係を描いた作品だ。米国人将校は蝶々夫人を捨てて本国に戻り、米国人女性と結婚する。

 『KBS中継席』という番組で放送された『蝶々夫人』は今年6月にソウル「芸術の殿堂」で上演されたものの録画だ。主人公は日本の伝統衣装である着物を着ており、結婚式の場面では日本の国歌である『君が代』が演奏される。西欧帝国主義の男性の視点を通じ、東洋(日本)を「従順な女性」として対象化した、典型的なオリエンタリズム的要素を持っているとの評価がほとんどだが、「光復節に君が代と着物とはあきれた」などの意見が視聴者掲示板に殺到した。一部の書き込みには約1万件の「同意」ボタンがタップされた。KBSは公式見解で「当初は7月末に放送する予定だったが、オリンピック中継で延期され、光復節の未明になった。放送内容が時宜にかなっているかどうか検討できなかったスタッフのミスだ」と説明した。

 ところが、KBSでは同日午前の天気予報でも左右が入れ替わった太極旗のイラストを使って再び非難を浴びた。このため、「光復節に太極旗を左右逆に出すなんて」という批判が相次いだ。KBSは制作上のミスだとして「心よりおわびする」と謝罪した。

 さらに、KBSが15日夜の番組『独立映画館』で李承晩(イ・スンマン)元大統領のドキュメンタリー映画『奇跡の始まり』を光復節特集として放送したことに対し、全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下のメディア労組KBS本部などは「李承晩を美化したドキュメンタリー放送を中止せよ」と主張した。これに対し、「KBSが光復節に合わせて李承晩の映画を流すことの何がいったい問題なのか」という反論もあった。

アン・ジュンヒョン記者、イ・テフン記者、ク・ドンワン記者

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