▲ソウル市内の大型スーパーで売られているシャインマスカット/11日、聯合ニュース

 2014年に流通が始まり、わずか8年後の2022年に韓国のブドウ市場で首位(栽培比率41.4%)を占めたシャインマスカットの人気に陰りが出ている。首位に立ってから2年で栽培割合が下落に転じたのだ。一方で、退潮傾向だったキャンベルアーリーと巨峰は反撃に出た。シャインマスカットは価格が従来のブドウの3~4倍にもかかわらず、甘さを武器に口コミが広がったが、多くの農家が栽培に参入すると価格が下落した。農家は単価の下落を補うため、限られた農地に過度に多くの苗木を植え、糖度と品質も低下した。その間にキャンベルアーリーと巨峰の栽培割合はシャインマスカットが登場して以降初めて上昇した。シャインマスカットの全盛期が2年で終わるのではないかとまでささやかれるほどだ。

■ブドウ市場を救ったシャインマスカット

 シャインマスカットは「ブドウ界のエルメス」「マンゴー味のブドウ」などという別名で呼ばれ、夏の高級果実として市場が成長してきた。シャインマスカットが流行すると、かき氷、飲料、菓子のほか、化粧品の原料としても活用された。これまで韓国で主に販売されていたキャンベルアーリーや巨峰より価格がはるかに高く、帰農した農家が栽培に乗り出した。

 シャインマスカットの人気が高まると、低迷していたブドウ農家も活気を帯びた。韓国農村経済研究院農業観測本部によると、2000年以降減少してきたブドウ栽培面積はシャインマスカット人気で2019年には1万2676ヘクタールに回復。それ以降は2023年の栽培面積が1万4706ヘクタールとなるなど持続的に増加している。シャインマスカットの栽培面積は2017年には全体の約4%だったが、昨年は43.9%まで拡大した。

■「ブランドフルーツ」ではなくなったシャインマスカット

 シャインマスカット栽培への参入が相次ぐと、価格も低下し、品質を巡る議論も起きた。シャインマスカットが成熟する前に収穫をしたり、限られた農地に過密に苗木を植えたりして、農家が利益だけを過度に追求したためだ。ブドウの産地である慶尚北道金泉市の農家の間では、シャインマスカットの適正な栽培密度が600坪当たり9000本程度と勧告されている。しかし、農家は植えれば植えるほど利益が増えるため、600坪に1万5000本植えることもあった。土地の養分が果実にうまく行き渡らず、糖度が落ち、大きさも小さくなる。

 このため、一時は一房2万ウォン(約2150円)を超えていたシャインマスカットの価格は2023年には5000ウォンまで下落した。今年7月時点の価格は、2キログラム当たり2万4442ウォンで、巨峰(2万3600ウォン)とほぼ同水準まで低下した。シャインマスカット人気が陰ると、ブドウ農家の間では「シャインマスカットは以前ほどカネにならない」という話が交わされている。

■反撃に出たキャンベルアーリーと巨峰

 韓国農村経済研究院は2024年にシャインマスカットの栽培割合が初めて減少に転じると予想した。韓国全土で栽培されるブドウ全体に占めるシャインマスカットの割合は2021年に31.6%、2022年に41.4%、2023年に43.9%と年々増えてきたが、2024年は初めて頭打ちとなり、42.6%に低下するとみられる。キャンベルアーリーと巨峰は再び増加傾向に転じ、2024年はそれぞれ29.4%、17.8%を占めると予想される。

 流通業界もキャンベルアーリーと巨峰に再び目を向けている。イーマートは夏のフルーツ企画展を開き、キャンベルアーリー(1.5キログラム)と巨峰(1.4キロ)をいずれも1万9900ウォンで販売している。クーパンは今月初め、ブドウ農家から直接ブドウ28トンを購入し、格安で販売している。シャインマスカット600グラムは9990ウォン、キャンベルアーリー1キログラムは1万1990ウォン、巨峰600グラムは9230ウォンで買える。

シン・ジイン記者

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