経済総合
韓国に追いつき追い越す中国、液晶パネルに続きOLEDでも市場首位
今年第1四半期の有機発光ダイオード(OLED)パネル市場で、中国企業のシェアが韓国を初めて上回った。OLEDパネルは液晶パネルよりも高い技術力が必要で、韓国企業が主導権を握っていたが、中国企業が追い付いた格好だ。低価格攻勢で世界の液晶パネル市場を掌握した中国企業がOLEDパネルでもリードし、韓国のディスプレー産業を圧迫している。業界関係者は「韓国のディスプレー企業が中国のライバルの追随を許さない新技術を生み出すことができなければ、OLED市場も液晶パネルのように中国に奪われることだろう」と話した。
■液晶に続きOLEDでも中国が首位に
中国メーカー各社は、巨大な内需市場をバックにして、プレミアム商品に分類されるOLED市場へと事業領域を拡大している。 市場調査会社オムディアによると、第1四半期に中国のディスプレー企業は中小型OLEDを含む全体OLED市場(出荷量ベース)で49.7%のシェアを占めた。これまで首位だった韓国のシェアは49.0%で2位に後退した。昨年第1四半期時点でも韓中のシェアはそれぞれ62.3%、36.6%と大差が付いていたが、 わずか1年で20ポイントを超える格差に追い付き、追い抜いた。中小型OLED市場でも中国企業は世界シェア50.5%で初めて首位に立った。韓国は48.2%で中国に追い付かれた。
中国の追撃は人口14億人の内需市場のおかげだ。さらに米中対立で愛国消費ブームが起き、中国政府も国産部品の使用を奨励しているため、中国のディスプレー企業が急成長している。韓国ディスプレー産業協会によると、華為(ファーウェイ)、OPPO(オッポ)など中国スマートフォンメーカーが採用しているOLEDパネルのうち韓国製の割合は2021年の78%から昨年は16%に急落した。その代わり、中国は国産OLEDを採用し、コストパフォーマンスに優れたスマートフォンを相次いで発売している。
■中国、OLEDへの大規模投資も相次ぐ
現在中国製OLEDは主に中国製品やアップルの普及型モデルに搭載されている。まだ中国製OLEDの品質と歩留まりが韓国を下回っているためだ。業界関係者は「消費電力、重さ、画質などで中国企業が韓国の技術力に追い付くことができず、中国企業はアップルのiPadなどプレミアム製品にはまだ納品できずにいる」と話した。しかし、中国企業は内需市場で稼いだ資金で大規模な投資に乗り出し、技術面で早く追い付こうとしている。
OLEDの用途がスマートフォン中心からタブレット端末、ノートパソコンなどIT全体へと次第に拡大する傾向に合わせ、中国企業は関連投資に死活を懸けている。京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は昨年、630億元(約1兆2900億円)を投資し、IT製品用OLED生産ラインを建設すると発表。維信諾科技(ビジョノックス)もIT用OLED工場の建設を決めた。市場調査業者ディスプレーサプライチェーン(DSCC)によると、2020年から2027年までの期間に世界のディスプレー生産設備関連支出の85%がBOE、深圳市華星光電技術(CSOT)など中国企業に集中する見通しだ。一方、韓国企業による同支出は12%と見込まれる。ディスプレー業界はOLED市場でも液晶パネル同様に低価格攻勢が続くかどうかに神経を尖らせている。業界関係者は「中国企業のOLED分野の技術力が上がれば、現在韓国企業の主な供給先であるサムスン電子、アップルのプレミアム製品を巡る競争が繰り広げられる可能性がある。OLED市場でも低価格攻勢が始まる可能性があるため、その前に技術格差を広げることが重要だ」と指摘した。
韓国が優位に立っていた液晶パネルは、時間がたつにつれて汎用技術になり、低価格攻勢をかけた中国が市場を掌握した。サムスンディスプレイは2022年に液晶パネル事業を完全に中断し、LGディスプレイも2022年に韓国国内でテレビ用液晶パネル生産をやめ、中国工場の売却を進めている。最近、LGディスプレーの広州液晶パネル工場売却の優先交渉対象者にCSOTが選定された。買収が完了すれば、テレビ用液晶パネル市場から韓国企業は消え、中国の影響力はさらに高まる見通しだ。液晶パネル市場では今後、中国3大メーカーのシェアが70%に達するという見通しも出ている。
ユ・ジハン記者、イ・ヘイン記者